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平成29年 9月決算特別委員会(平成29年度)−09月27日-01号
平成29年度栃木県議会第345回通常会議-09月27日-04号

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  1. 栃木県議会 2017-09-27
    平成29年度栃木県議会第345回通常会議-09月27日-04号


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    平成29年度栃木県議会第345回通常会議-09月27日-04号平成29年度栃木県議会第345回通常会議 (1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名 9月27日(水曜日)  出席議員 48名   1 番      中 屋   大   2 番      平 木 ちさこ   3 番      船 山 幸 雄   4 番      塩 田 ひとし   5 番      齋 藤 剛 郎   6 番      増 山 敬 之   7 番      守 田 浩 樹   8 番      吉 羽   茂   9 番      加 藤 正 一   10 番      野 村 せつ子   11 番      早 川 けいこ   12 番      相 馬 政 二   13 番      西 村 しんじ   14 番      野 澤 和 一   15 番      阿 部 博 美
      16 番      池 田   忠   17 番      亀 田   清   18 番      白 石 資 隆   19 番      関 谷 暢 之   20 番      中 島   宏   21 番      日向野 義 幸   22 番      横 松 盛 人   23 番      渡 辺 幸 子   24 番      斉 藤 孝 明   25 番      松 井 正 一   26 番      山 田 みやこ   27 番      保 母 欽一郎   28 番      一 木 弘 司   29 番      山 口 恒 夫   30 番      阿 部 寿 一   31 番      金 子   裕   32 番      佐 藤   良   33 番      山 形 修 治   34 番      若 林 和 雄   35 番      五十嵐   清   36 番      岩 崎   信   37 番      小 林 幹 夫   38 番      五月女 裕久彦   39 番      相 馬 憲 一   40 番      早 川 尚 秀   43 番      佐 藤   栄   44 番      神 谷 幸 伸   45 番      螺 良 昭 人   46 番      三 森 文 徳   47 番      木 村 好 文   48 番      髙 橋 文 吉   50 番      平 池 秀 光   51 番      板 橋 一 好 (2)説明のため出席した者の職氏名  地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者   知事       福 田 富 一   副知事      鈴 木 誠 一   副知事      赤 松 俊 彦   総合政策部長   北 村 一 郎   経営管理部長   金 田 尊 男   県民生活部長   和 田 裕 二   環境森林部長   淺 香 達 夫   保健福祉部長   山 本 圭 子   産業労働観光部長 香 川 眞 史   農政部長     渡 邉 和 明   県土整備部長   江 連 隆 信   会計管理者会計局長            冨 田 哲 夫   企業局長     中 里 文 計   総合政策部次長兼総合政策課長            沼 尾 正 史   財政課長     安 藤 高 広   教育長      宇 田 貞 夫   代表監査委員   石 﨑   均   人事委員会事務局長            石 塚   勉   労働委員会事務局長            北 村 直 也   警察本部長    福 田 正 信 (3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名   事務局長     原 山 光 史   次長兼総務課長  入 野 祐 子   議事課長     小 川 茂 樹   政策調査課長   伊 藤 美智雄   議事課主幹兼課長補佐            柿 木   聡   課長補佐     谷田部 武 男   副主幹      相 子 倫 子   副主幹      小 川 元 子   係長       三 澤 智 子   主査       鈴 木   努   主査       関 根   透 ◎原山光史 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は48名であります。       ―――――――――――――――――――――――――――――     午前10時 開議 ○小林幹夫 議長 ただいまから本日の会議を開きます。  日程第1 第1号議案から第7号議案まで、第9号議案から第16号議案まで、認定第1号から認定第6号まで及び議第5号を一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) それでは、発言通告に従いまして順次質問してまいります。本日、9月27日は世界観光の日でございまして、各国で観光推進イベントが開催されるとも聞いております。国連の専門機関であるWTO(世界観光機関)が定めた日で、国際社会におけるツーリズムの社会的、文化的、政治的及び経済的な重要性を啓発するために、1989年に制定されたということですが、ツーリズムに関連いたしまして、本県農業の振興についてのうちまず初めに、本県の特徴を生かしたグリーンツーリズムの推進について知事にお伺いしてまいりたいと思います。  私の地元、大田原市では、2012年にJA、森林組合、観光協会などさまざまな団体の協力のもと、市を挙げて大田原グリーンツーリズム推進協議会を発足させ、地元の産業や文化、歴史などを生かして、都市住民の方々に農村地域の住民との交流を通して余暇を過ごしていただくグリーンツーリズムの取り組みを進めていくこととし、市などが出資して、都市住民と農村地域の人々との双方の橋渡しを担う組織、株式会社大田原ツーリズムを設立いたしました。  当初は、宿泊を受け入れてくれる農家の方がなかなか集まりませんでしたが、民泊を実施した受け入れ農家が、民泊の楽しさや感動をみずからが感じ、新たな協力農家を紹介し、徐々に協力の輪が広がり、現在ではおよそ120軒の農家が大田原ツーリズムの協力農家として、交流体験や宿などを提供しています。修学旅行や企業の研修旅行など、国内の方のみならず、海外からも学生など多くの方々がやってくるようになり、土づくり、田植え、特産の「那須の白美人ねぎ」やアスパラガス、ニラなどの収穫、牛の世話、神社の清掃などに汗を流すなど、昨年度は延べ約8,400人が田舎暮らしを満喫しております。今では、農家や地元の人々がみずから、もっと喜んでもらうためにどうしようかと、近隣農家と宿泊者同士が、とれたて野菜や地元産牛肉を持ち寄ってのバーベキュー大会やかまどづくりなど、それぞれが工夫したりして、受け入れ側の関係者同士の情報交換や交流が活発化しているのを感じております。  県は、とちぎ元気発信プランにおける誇れる地域づくり戦略に、魅力あるとちぎの地域づくりプロジェクトを掲げ、市町の域を超えた地域連携や、都市と農村の交流等による地域活動など、交流人口の拡大により、地域の活性化を図っていくこととしております。  折しも、本県では、来年4月からJRグループのデスティネーションキャンペーンに向けて、本年からプレイベントなども行われ、観光客がふえております。2020年には東京オリンピックパラリンピックが開催され、その2年後には、本県が国民体育大会全国障害者スポーツ大会の開催地となるなど、今後、国内外から本県を訪れる人々がふえていくことが期待されます。これを絶好の機会と捉えて、東京からのアクセスもよく、豊かな農村を持つ本県の特徴を生かして、グリーンツーリズムの取り組みを拡大させ、農村地域に誘客することは本県の活性化につながるものと考えております。  そこで、本県において、今後、グリーンツーリズムをどのように推進していくのか、知事にお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの池田議員のご質問にお答えいたします。農村に人を呼び込むグリーンツーリズムの推進は、農村の活性化のみならず、移住・定住にもつながる取り組みでありますことから、県ではこれまで、食の街道やとちぎのふるさと田園風景百選など、地域資源を掘り起こし、多彩な食や景観の魅力を発信することで、交流人口の拡大に努めてまいりました。今後、デスティネーションキャンペーンなどを契機としまして、多くの方々が本県を訪れることが見込まれることから、私は、これまでの成果をもとに、滞在型のグリーンツーリズムを県内各地に展開させていくことが重要であると考えております。  このため、県では、今年度新たにグリーンツーリズムの人材育成講座を開催し、伝統料理や収穫体験、宿泊など、地域資源を組み合わせた滞在プログラムを企画、運営できるコーディネーターの養成に取り組んでいるところであります。今後は、こうした人材が、地域の農業者や旅行業者等と連携して取り組む農村体験ツアーなどの具体的な実践活動を支援することにより、関係者間のネットワーク化を促進し、各地域における推進体制の構築につなげてまいります。  また、本県農村の四季折々の魅力を発信するため、地域のイベント情報や体験記などをタウン誌やメールマガジンに掲載するほか、スマートフォンアプリの活用や訪日外国人旅行者を農村地域に呼び込むためのPR資材の作成なども進めてまいります。  今後とも、市町を初め、地域の幅広い関係者と力を合わせ、訪れる人に癒やしと感動を与える魅力的なグリーンツーリズムを推進してまいります。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) 知事から人材養成講座、コーディネーターの養成等を進めながら体験ツアーなどを行い、ネットあるいはさまざまなPRを通じて発信していくという答弁をいただきました。しっかりと進めていただくようお願い申し上げたいと思います。  農政部長に再質問させていただきますが、自然公園や文化財、あるいはテーマパークなどの観光資源の乏しい市町にとっての観光誘客は、やはりグリーンツーリズムが有効であることは皆さん認識していると思います。しかし、どのように進めていいのかわからないというのが市町の現状ではないかと考えております。グリーンツーリズム事業を立ち上げるにも、やはり人材や資本金が必要になってまいります。  そこで、既存のグリーンツーリズム事業会社を活用してはどうか、提案させていただきますが、大田原ツーリズムでは、誘客のノウハウはしっかりと持っております。しかしながら、まだまだ多くの呼び込みが可能ではあるが、受け入れてくれる農家が少ないと言っております。  そこで、各市町で受け入れ農家をまとめていただいて、既存のグリーンツーリズム会社などを活用して客を集めるといったシステムをつくってはどうか、農政部長にお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 渡邉和明農政部長。 ◎渡邉和明 農政部長 再質問にお答えいたします。特別な観光資源がなくても、議員のお話にございましたように、野菜の収穫でありますとか、それから牛の世話をするとか、あるいは神社の掃除をする、農村の日常にあるそういったものをメニューとして人を呼び込めるのがグリーンツーリズムではないかと私は思っております。そして、ふだんではなかなか気づかないような、こうした農村の魅力をあぶり出して全国に注目されている、そうした取り組みをしているのが大田原ツーリズムであると思っております。
     グリーンツーリズムを根づかせるためには、今お話がございましたように、受け入れ農家をまとめるとか、そういう意味でもしっかりした推進母体が必要であると思いますけれども、地域の条件とか状況はさまざまでございます。県としては、このような身近な成功事例がありますので、これを参考として活用させていただきながら、地域の主体的な取り組みを支援してまいりたいと考えております。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) 質問でも申し上げましたように、成功しているところがありますので、そういったところを参考にしながら、また、そういったところの意見を聞きながら、また活用して、しっかりと県全体の市町に広げていただけますよう、お願い申し上げたいと思います。  農林水産省では、平成30年度予算概算要求で、農泊の推進として、国内だけでなく、増大するインバウンド需要等も呼び込んでの農山漁村の所得向上を図るため、農泊をビジネスとして実施できる体制の構築、また地域に眠っている資源の魅力ある観光コンテンツとしての磨き上げなどの取り組みや古民家等を活用した滞在施設、農林漁業体験施設等の整備を一体的に支援するとして、75億円の予算概算要求をしております。これらの内容を確認しながら、県として、各市町のグリーンツーリズム事業に対し、しっかりと支援していくこととあわせて、来年春実施のデスティネーションキャンペーン、再来年春のアフターDCキャンペーン、2020年の東京オリンピックパラリンピック、その2年後の本県での国民体育大会全国障害者スポーツ大会の開催に向けて、本県グリーンツーリズム事業をしっかりと発信していくよう要望させていただきます。  次に露地野菜の生産拡大について、農政部長に伺います。米の消費量が減少し、平成30年度から国の米政策が見直される中で、本県の水田に収益性の高い露地野菜を導入し、生産を拡大していくのは、非常に重要な政策であると考えております。私の地元の大田原市や那須塩原市、那須町などでは、転作を契機に導入されたウド「那須の春香うど」が今では国内有数の産地となっているほか、品質が高いブランドネギである「那須の白美人ねぎ」、夏秋ナス「那須の美なす」が、生産者数、出荷量ともに着実に増加しており、それぞれ数億円規模の産地として拡大してきたところでございます。最近では、タマネギなども導入されつつあります。また、生産者の中には、雇用を活用して、数ヘクタール規模の作付をして周年出荷している大規模農家もあらわれてきております。  露地野菜の生産を拡大していくには、生産者をふやし、量をまとめて、しっかりとした流通販売対策を行い、有利販売をしていくとともに、産地づくりを引っ張っていくような大規模生産者を育成していくことが重要と考えております。しかしながら、生産者に聞きますと、野菜を収穫した後の根切りや皮むき、箱詰めなどの労力がネックとなり、なかなか規模拡大に踏み切れないという声があり、こうした部分が生産拡大の課題になっていると思います。  そこで、県では、こうした課題への対応も含め、露地野菜の生産拡大に向け、今後、どのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 渡邉和明農政部長。    (渡邉和明農政部長登壇) ◎渡邉和明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。露地野菜の生産拡大を図るためには、水田を積極的に活用して、効率的な生産供給体制づくりを推進していくことが重要でございます。このため、農地中間管理機構を活用して、農地の利用集積・集約化を進めますとともに、省力化に必要な高能率生産機械の導入や皮むき、選別作業などの分業化を図る出荷調整施設の整備を支援することにより、大規模な露地野菜の産地を育成してまいります。  また、園芸大国とちぎづくり推進大会を開催し、露地野菜の生産拡大に向けた機運醸成を図るとともに、農業振興事務所に設置した水田農業改革のサポートチームを中心に、市町や農業団体と連携しながら、地域の振興品目の選定や規模別の経営指標の作成、提示などを通して、新たな生産者の確保に努めてまいります。  さらに、カット野菜や冷凍野菜など、増加する加工・業務需要に積極的に対応するため、産地と食品企業とのマッチングも進めてまいります。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) 農政部長から品目の選定であるとか、それらについて農業振興事務所サポートチームなどがしっかりと支援していく、また、加工用野菜などそういったものも推進しながら、生産者、作付をふやしていくという答弁をいただいたわけでございますけれども、ここで農政部長に再質問いたします。22日の五十嵐議員の代表質問の中の農業の成長戦略についての質問に対し、知事からイチゴやトマトなどの施設園芸のほか、露地野菜の振興拡大を図ることが園芸大国とちぎを確立することにつながる、それには、集出荷施設が重要であり、農業の成長戦略化につながるものだとの答弁がございました。まさにそのとおりでありまして、出荷調整などを行う共同施設、加工所等があれば、現在の生産農家の規模拡大、新規の作付者が増加してくるものと思います。  JAなすのでは、「那須の白美人ねぎ」の集出荷共選施設の整備計画がございます。これが整備されれば、次には、五十嵐議員からも紹介がありました、農林環境委員会県外調査先の富山県で確立しておりますタマネギの乾燥、集出荷システムを参考にした施設や夏秋ナスの「那須の美なす」などについても集出荷施設の検討が進むものと思いますし、一歩進んで、加工施設の取り組みも考えられると思いますけれども、このようなJA等の取り組みについて、国の補助金も含め、県としてどのように推進、支援していくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 渡邉和明農政部長。 ◎渡邉和明 農政部長 再質問にお答えいたします。露地野菜の生産拡大を図るためには、お話がありましたように、一番手間のかかる出荷調整の作業をいかに軽減するかということが大きな課題となってございまして、共同利用の集出荷施設を整備することは、作業を分業化するという意味で大変有効であると考えております。  施設の整備に当たりましては、現在の生産者だけではなくて、今後、どれだけ産地を拡大していくのかという見通しや目標も重要でございます。そういう目標を明確にした上で、それに対応した規模、あるいは備えるべき機能、それから運営方法、労働力の確保、そういうことを含めた詳細な計画づくりが必要と思っておりますので、県としては、さまざまな情報の提供や技術的な助言を行いながら、適正な国庫補助事業の活用についても支援してまいりたいと思っております。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) しっかりとした目標、計画を立てて進めていく、当然のことでございます。私の近所にナスをつくられている方がいるのですけれども、毎年近所の方などパートを集めてやっているのですが、求人が非常に大変だと言っていますし、選別、箱詰めの作業がなくなれば、今の倍ぐらいはつくれる、ということも言っておりました。そういった情報等をまとめながら、しっかりとJA等の取り組みについて、指導、支援をしていっていただきたいと思います。  露地野菜の作付による水田利用は、米の供給過剰対策としての観点からも最も有効な手段であります。園芸大国とちぎの確立、農業の成長産業化に向けて、農業者やJA等に対してのしっかりとした支援を進めていくことを要望させていただきます。  次に、圃場整備の推進について、農政部長にお伺いいたします。本県の農業を収益性の高い成長産業へと導くためには、担い手農家の一層の規模拡大と効率化が何よりも重要であると考えております。そのためには、農地の区画拡大や排水対策などを一体的に行う圃場整備が大変有効な手段であり、これを契機とした農地の集積・集約化や露地野菜などの高収益な作物への作付転換が求められるところでございます。私の地元、大田原市でも、現在7つの地域で圃場整備推進協議会が設置され、事業化に向けた計画調整を行っているところですが、中には、事業に要する地元負担金が重荷となり、思うように進まない地域もあると聞いております。  こうした中、本年5月に土地改良法の一部が改正され、農地中間管理機構が借り入れている農地について、農業者の費用負担や同意を求めることなく圃場整備を実施できる制度が創設されたところでございます。この新たな仕組みを活用することで圃場整備の一層の推進が図られるとともに、担い手への農地の集積・集約化が促進し、農地を借り受けた担い手が長期間安定した経営が行える環境整備が整うものであると考えております。  そこで、県では、農地中間管理機構と連携して、新たな制度を活用しながら、今後、どのように圃場整備を推進していくのか、農政部長に伺います。  また、圃場整備事業の推進に当たっては、生産コストをいかに低減するかが極めて重要であります。労力軽減につながる用排水路の地中化などが必要と考えております。ついては、圃場整備による省力化技術の導入について、県としてどのように推進してくのか、あわせてお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 渡邉和明農政部長。    (渡邉和明農政部長登壇) ◎渡邉和明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。今般創設された制度は、圃場整備の実施によって優良な農地を確保し、農地中間管理機構を活用した農地の集積・集約を進めやすくするものであり、担い手を中心とした地域農業の発展につながることが期待されております。しかしながら、この制度を活用するには、対象となる全ての農地に15年以上の中間管理権を設定することや、事業完了後5年以内に農地の8割以上を担い手に集約することなど、厳しい要件が設定されております。  このため、人・農地プランの見直しや集落座談会など、さまざまな機会を通じて新たな制度の周知を図り、地域の合意形成を支援いたしますとともに、モデル地区を選定して重点的に推進してまいります。また、排水路の暗渠化や自動給水栓の設置など、省力化技術の導入につきましては、期待される効果と必要なコストをわかりやすく示し、地域の要望を踏まえながら適切に推進してまいります。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) 農政部長からの答弁では、幾つかの厳しい要件があるということでございますけれども、その辺のところは、しっかりとした説明会等を開き、理解を求められることと思います。農地中間管理機構を通せば農家の負担金がなくなるということでもございますし、また、聞くところによると、みずからの土地を農地中間管理機構に来て、それを借りるといったものもカウントされると聞いております。まだ細かい内容等について示されていない部分もあると聞いておりますので、これらの情報等をしっかりと把握しながら発信していくことをお願いしたいと思います。  農政部長に再質問させていただきますが、先ほど申し上げましたとおり、大田原市では、7つの圃場整備推進協議会が立ち上がっております。合計で面積が800ヘクタール程度の計画になっているという中で、圃場整備による生産性向上や農作業事故防止対策を考えると、省力化技術とあわせ、スーパー大区画化、3ヘクタール以上の大区画化などの新たな工法導入についても進めていくことが有効であると考えておりますけれども、どのような支援ができるか、農政部長にお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 渡邉和明農政部長。 ◎渡邉和明 農政部長 再質問にお答えいたします。スーパー大区画でございますけれども、大型の機械を使って、それから自動水管理システムなどを使うということで大幅な省力化が期待されているところでございます。現在、実際に整備されているもの、県内で見ますと、主に標高差が少ない、いわゆる田んぼの段差が少ない県南の地域で進められているということでございます。県北地域で実施することになりますと、地形勾配を考慮した区画の形状、例えば横に広げられないのなら縦に伸ばすということも含めてですけれども、道路・水路の配置とか、地域の特性に応じた整備を整備コストと一緒に検討していく必要があると考えております。このため、スーパー大区画などの新たな整備工法については、地域で十分協議していただけるよう、情報提供等支援しながら、適切な整備を支援してまいりたいと思っております。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) スーパー大区画化については実証試験も行っていると聞いております。その内容等を検証し、今、私の地元で行われている圃場整備でも、しっかりと検証した内容等を説明の上、進めてください。今後、やはり大区画化がどうしても必要になってくる時代がやってくるのではないかと考えております。  22日に西村議員から質問がございました、農業でのICT化やロボット技術の導入、自動水管理システム化による生産力向上、省力化を図るスマート農業とちぎの取り組みを実効性のあるものにするためには圃場整備事業は、必須であると思います。農業振興だけでなく、道路・河川整備に伴う地域の安全・安心の確保、生活の向上や地域建設産業活性化にも直結するものでございます。国の大きな支援制度もございますので、市町、農家の意見を聞きながら、国からの予算獲得も含めたしっかりとした対応を要望させていただきます。  次に、農産物輸出拡大について、農政部長にお伺いします。昨年、私はアメリカ・カリフォルニア州の農業を調査する機会に恵まれました。そこでは広大な農地で巨大な機械を駆使して、日本では考えられないような米の大規模経営を行っており、大変感心いたしました。一方で、水不足や現地の土地の価格からくる生産拡大の難しさなど、アメリカの農業が抱える問題についても認識してきたところでございます。また、現地では、和食ブームを受け、日本食レストランが大変にぎわっておりました。このように、現地では外食、中食向けの米のニーズが高まっているとのことであり、これをターゲットとして本県の米を売り込むことができるものと考えます。イチゴについては、アメリカのものはかたくて甘みもなく、そのままいただける味ではありませんでした。甘くてジューシーで、しかも大きい「スカイベリー」をアメリカの方々に食べていただいたら、どれほど喜んでいただけるか、想像にかたくありません。  国内人口が減少する中、県産農産物の海外における販路を開拓していくことは、農業の成長産業化を図る観点から極めて重要であり、平成28年度の県産農産物の輸出額が前年度の倍以上に伸びたことは、大変すばらしいことだと思います。今後、県産農産物の輸出を伸ばしていくためには、これまで取り組んできた東南アジアなどの国々への牛肉、梨の「にっこり」などの輸出を着実に進めることはもちろんのこと、私が行ってきたアメリカを含め、新たな輸出国を開拓したり、米やイチゴのような輸出の少ない品目を積極的に売り込んでいくことが大きな鍵を握っているものと考えております。  そこで、県は、農産物の輸出拡大に向けどのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 渡邉和明農政部長。    (渡邉和明農政部長登壇) ◎渡邉和明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県産農産物のさらなる輸出拡大を図るためには、新たな輸出国の開拓や「とちぎ和牛」、梨の「にっこり」に次ぐ輸出品目の育成を進めていく必要がございます。このため、これまで信頼関係を築いてきた海外バイヤーとのネットワークやジェトロが持つ情報を活用し、相手国の嗜好や購買力等の輸出環境調査やテストマーケティングを実施してきたところであり、引き続き、こうした取り組みを通じて、新たな輸出国の開拓を進めてまいります。  また、鮮度保持が難しいイチゴにつきましては、最適な輸送方法の研究を進めますとともに、米については、和食ブームを受け、アメリカなどで中間所得層の需要拡大が期待できますことから、外食産業向けの輸出を促進してまいります。  今後とも、関係機関・団体等と情報共有を図りながら、農産物輸出の裾野を広げ、稼げる農業の実現につなげてまいります。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) 農政部長から新たな輸出国を拡大していく、また関係機関や団体と協調しながら、稼げる農業を目指していくという答弁をいただきました。  ここで農政部長に再質問させていただきます。関係団体である全農とちぎは、JAグループのJA全農インターナショナルを通して農産物を輸出していくということで新聞にも掲載されておりましたが、輸出の量、あるいは品目をふやせるのか、また本県産ブランドの優位性を生かした有利販売につながるのか、といった不安もありますけれども、本県農産物のブランド力を生かした農産物輸出拡大と有利販売をどのように進めていくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 渡邉和明農政部長。 ◎渡邉和明 農政部長 再質問にお答えいたします。JA全農インターナショナルを通じた輸出を行うということになれば、例えばオールジャパンでリレー出荷が行えるということもございまして、1年を通して安定的な販路の確保ができるという可能性が広まると思っております。その場合には、本県農産物についても輸出量の拡大につながるのではないかということを期待しております。  また、「とちぎ和牛」や「にっこり」などにつきましては、既に本県のブランドが定着しつつありますし、実際にバイヤーからのオーダーもふえておりますので、そうした現地バイヤーと一緒に効果的なプロモーションを実施するなど、量の拡大とブランド価値の向上、その両面から輸出の拡大に取り組んでまいりたいと思っております。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) 確かにそうですね。全農ですとオールジャパンで取り組んでいけると。また、安定供給ができるということで、市場の信用も得られるということにつながっていくものと思います。また、既にブランド化しているものは、それなりに海外でも市場が開けるだろうと考えますが、政府は農林水産物、食品の輸出額を2019年までに、去年約7,500億円だった輸出を1兆円にするという目標を立てております。また、国内では毎年8万トンずつ消費が減っていく米の輸出について、国は2019年に加工品も含めて10万トン――これはかなりの量でございます――にするとの目標を設定し、来年度予算で新たな支援も講じるとしております。  いつからかわかりませんが、アメリカが漢字の「米」、日本で主食の米がカタカナで「コメ」と書かれるようになってしまいましたが、本質問でも申し上げましたカリフォルニアの稲作地帯では、干ばつの影響で米の生産に大変苦労している。また、先ほど申し上げました日本食が空前のブームとなっているということもございます。コシヒカリの大規模生産農家では、アメリカでの国内販売を拡大していく方向で、日本への輸出は考えていないと言っておりました。現に三、四年前までネットで購入できたアメリカ産コシヒカリが、現在取り扱いしておりませんという表示になっています。そのような状況でございますので、アメリカへの米の輸出を積極的に、またスピード感を持って進めていくよう、お願いいたします。  いずれにいたしましても、農業の成長産業化の実現に向けて、本県産各種農産物ブランドの優位性を生かして、手を抜くことなく、具体的かつ実効性のある施策をしっかりと進めていくことを要望させていただきます。  次に、県産木材の利用促進について、環境森林部長にお伺いします。私の地元である八溝山系や日光、鹿沼などの中山間地域においては、豊かな森林資源を背景として、林業・木材産業が、雇用面も含め、地域経済に大きな役割を果たしてまいりました。しかし、近年では、集落の過疎化などが進み、林業・木材産業が衰退するなど、厳しい状況にあります。このような折、今会議において、県産木材の利用促進について規定した栃木県県産木材利用促進条例、いわゆるとちぎ木づかい条例が議員提案として上程されました。この条例の狙い、意義としては、私は主に次の2点があると考えております。  1つは、森林資源を積極的に活用し、森林資源の循環利用、植えて、育てて、切って、使うといった森林本来の利用サイクルを推進することによって、県民共有の財産である本県の森林を健全な姿で次の世代に引き継いでいくということです。  もう一つは、木材需要の増進によって、林業及び木材産業が再び地域経済の中核を担えるようにすることであり、私はこの条例がさまざまな問題を抱える中山間地域の振興につながるものと大いに期待しているところであります。また、森林が将来に引き継がれ、県土の保全、水源の涵養などのさまざまな公益的機能が持続的に発揮されるためには、森林に密接にかかわりのある林業・木材産業が業として成り立ち、持続的に発展していくことが不可欠であります。  そういう意味では、条例の基本理念において、県産木材の利用促進は経済的価値の向上が図られなければならない。言いかえれば、利益、もうけを生み出すということかと思いますが、こういった経済的側面から捉えた規定は大変意義のある、的を射たものであると受けとめております。  そこで、とちぎ木づかい条例の制定を機に、県は、林業・木材産業の活性化に向け、県産木材の利用促進にどのように取り組んでいくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 淺香達夫環境森林部長。    (淺香達夫環境森林部長登壇) ◎淺香達夫 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。森林資源が成熟期を迎えたことによりまして、切って利用する好循環を確立していくことが、林業・木材産業の成長化には不可欠でございます。そのためには、本県の主力でございます無垢の建築用材に加えまして、集成材あるいはCLT、さらには木質バイオマスなど、幅広い分野に木材の利用を拡大していくということが重要であります。今会議に上程されました栃木県県産木材利用促進条例案でございますが、事業者あるいは県民の協働によりまして、木材の利用の裾野を広げるというものであり、地域の活性化に資するものであると考えてございます。  現在、県では、県産木材の需要拡大に向けまして、県内外でのとちぎ材によります家づくりの支援や中大規模建築物の木造・木質化を初めとして、各種の事業に取り組んでいるところであります。  今後は、条例に基づきます県産木材利用促進のための協議会を早期に設置し、川上から川下の関係事業者のさらなる連携の強化に加えまして、県民の皆様に対しても、あらゆる機会を捉えて、条例の基本理念につきまして理解促進を図り、県産木材のさらなる利用促進に努めてまいります。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) 環境森林部長からは県産木材のさらなる需要拡大を進めていくという答弁をいただきました。環境森林部長に再質問させていただきますが、特に今回提案している条例内でも、県は県産木材の製材品としての使用を初め、集成材、あるいは直交集成板(CLT)などへの使用に関する施策を講ずるようにと規定いたしました。このCLT工法という比較的新しい技術の普及等について、県はどのように取り組んでいくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 淺香達夫環境森林部長。 ◎淺香達夫 環境森林部長 ただいまの再質問にお答えいたします。CLTの工法でございますが、栃木県内でまだまだ認知度不足といった状況であろうかと思います。このため、産学官などが連携しまして、設計士を初めとする技術者、あるいは市町へのCLTの性能や特性の普及に加えまして、試験研究機関によります性能、特性の試験研究を実施してまいりたいと考えてございます。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) 今、答弁で産学官連携の話も出たわけでございますけれども、先日、CLTについての専門家である宇都宮大学の中島教授とお会いすることができました。CLTの現状や課題等の話を伺ってまいりましたが、その席上で、CLTを普及させるためには、まずは話題性を出すことが重要であると言っておりました。多くの人が集まるところに、モデル的にCLT工法を用いた建物を建てれば、関係業者や一般の方の興味を引くようになっていくのではないか。CLT工法を浸透させるためにそういったことを進めていく重要性についてお話を伺いました。確かに私も建築士の方にCLT工法を用いた建物をお願いしますと言ったところ、ノウハウがないとか、実績がないとか、建てるとなると高額になってしまう等、できない理由ばかりを並べ立てられたわけでございますけれども、つくる側の意識もそのような状況でございます。しかし、国内では、CLTの建物は、高知県の社員寮を皮切りに、用途も事務所や福祉施設、あるいは集合住宅、店舗、さまざまな目的での建築が進んでおります。秋田県では橋梁の部材として活用されている。本県でも真岡市に倉庫が建てられましたが、ぜひ多くの人が見て、そして触れられるようなモデル的な建物を建てて、CLTの普及啓発に取り組まれるようお願い申し上げたいと思います。  昨年、海外行政調査で、カナダのブリティッシュコロンビア大学のCLT工法の建築物、これは学生寮なんですが、世界で最も高い全18階建ての工事現場を調査してきた内容については、前回の一般質問でも取り上げましたが、ことし6月に完成、供用が開始されました。これはまさに産学官連携のものでございます。本県においてもCLTに関する有識者のいる宇都宮大学や木材産業に関連する各企業、協会、さらに官庁との連携、産学官連携を栃木県が主体となって進めていくことが重要であります。  ここ一月の間で、北朝鮮から弾道ミサイルが2回も発射され、本県においてもJアラートが伝達される事態になり、国民にとっての危機が現実のものとなりました。こういう事態もあったので、CLTの特徴である強度が強い、耐火性があるなどから、CLT工法を用いた地下シェルターの建築等も検討していただければと思います。また、無垢材の利用拡大につきましては、平成28年度県主催のとちぎデザイン大賞で最優秀賞を受賞した鹿沼市の木工団地のめいじ屋という会社の布団干し機能つきすのこベッドは、楽天の部門別人気商品ランキングで現在1位となっております。このようなアイデア商品やヒノキ材のウッドデッキやスロープなどの組み立てキットでの商品開発、ネット販売等の指導、支援、こういったものにも県として力を入れていただきたいと考えます。  いろいろ具体例を申し上げましたが、いずれにしても、既成概念にとらわれず、さまざまな可能性を模索しながらも、スピード感を持って、具体的かつ実効性のある県産木材の利用促進に取り組むよう、要望させていただきます。  次の質問に入ります。道路照明のLED化について、県土整備部長にお伺いいたします。道路照明をLED照明に切りかえることは、省エネや経費削減効果をもたらすことから、私が平成28年2月議会での質問時に提案していたところですが、県は次年度からESCO事業を採用してLED照明に更新する内容の補正予算案を今会議に上程しており、うれしく感じたわけでございます。平成25年12月議会で亀田議員も取り上げており、県土整備部長からは、県の約1万8,000灯の道路照明について、平成22年度までに従来の水銀ランプから、より性能の高い高圧ナトリウムランプへの更新をおおむね完了したこと及び高圧ナトリウムランプの寿命は平均で6年であるとの答弁もありました。県土整備部長の答弁で言われた平成22年度に完了したランプの更新から既に寿命である6年が経過し、まさしく更新すべき時期が到来している状況であります。次年度から実施される事業については、補正予算案によると、事業期間は10年でLED照明に更新する内容でありました。  そこで、いよいよ始まるこの事業について、既に更新時期が到達している中で早期LED化が必要と考えますが、今後、どのようなスケジュールで進めていくのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 江連隆信県土整備部長。    (江連隆信県土整備部長登壇) ◎江連隆信 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県が管理する道路照明の更新につきましては、民間の資金やノウハウを活用し、短期間でLED化が図れるESCO事業によりまして、まず県北・県南地域において実施することとしたところでございます。この事業は、県が10年間にわたりまして、現行水準での電気料金や維持管理費相当額を事業者に支払い、事業者がLED化のための計画から施工、維持管理や電気料金の支払いなどに係るサービスを提供するものでございまして、LED化によります電気料金の削減分で工事費等を回収する仕組みになっておりますことから、事業化後は、早期にLED化が図れるものと期待しております。今後、事業者選定の手続に着手し、来年6月を目途に本契約の議案を提出したいと考えております。また、残る県央地域につきましても、県北・県南地域の実施状況を踏まえまして、できる限り早期に事業着手できるよう進めてまいる考えでございます。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇) ◆16番(池田忠議員) 早期に進めていくということでございますが、早期に完成することは、県あるいはESCO事業者にとっての利益にもつながってまいるはずでございますので、しっかりと早目に完成するよう指導等もしていただきたいと思います。  また、既存のランプからLEDに更新した後は、その管理が必要になってまいります。ついては、ESCO事業を活用する場合であっても、修繕等では、すぐに対応できるなど、小回りがきく地元の業者の参入についても考慮していただきますよう、お願い申し上げたいと思います。  次の質問、都市計画道路3・3・3号野崎こ線橋通りの整備について、県土整備部長にお伺いいたします。県においては、本県の強みである自動車、航空宇宙、医療機器、光、環境産業といった重点5分野などの産業集積を生かした成長のため、とちぎの産業躍進プロジェクトを展開しています。こうした中、当地域には、野崎工業団地及び野崎第二工業団地があり、医療機器、医療品関連の企業が立地しており、県の製造品出荷に大きく寄与しております。しかしながら、工業団地周辺の既存道路は、JR宇都宮線野崎駅や工場に向かう通勤車両が集中することから、朝夕の交通渋滞が常態化しているため、立地企業から交通環境の向上が求められております。特に、JR宇都宮線を横断し、工業団地への主要アクセス道路となる野崎駅北側の市道は、児童生徒の通学路にもなっていますが、幅員が狭い上に歩道が設置されておらず、とても危険な状況にあります。  このような中、現在、野崎こ線橋通りについては、県道西那須野下石上線から鉄道を横断して国道461号までの区間が、2市にまたがるなどの理由から未整備となっておりますが、立地環境の向上による地域経済発展や通学路の安全確保等の観点からも、野崎こ線橋通りの整備が必要不可欠と考えます。この路線については、今会議において、市道から県道への路線変更が上程されており、いよいよ整備に向けて本格的に動き出すものと考えられます。  そこで、県は、野崎こ線橋通りの整備について、今後どのように取り組んでいくのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ○小林幹夫 議長 江連隆信県土整備部長。    (江連隆信県土整備部長登壇) ◎江連隆信 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。都市計画道路3・3・3号野崎こ線橋通りを含む野崎地区の道路網のあり方につきましては、これまで大田原市、那須塩原市とともに検討を重ねてきたところでございます。この結果、両市にまたがる県道西那須野下石上線から国道461号までの未整備区間につきましては、県道西那須野下石上線を路線変更いたしまして、県が整備することが適当と判断し、今会議に路線変更の議案が上程されたところでございます。議決をいただいた後は、地元関係者への説明会や路線測量を実施いたしまして、来年度以降、JR東日本などの関係機関と協議しながら、跨線橋や道路の設計を進めますとともに、都市計画の変更手続を行う予定でございます。引き続き、両市の協力を得ながら、早期の事業化に努めてまいります。 ○小林幹夫 議長 池田忠議員。    (16番 池田 忠議員登壇)
    ◆16番(池田忠議員) 着々と進んでいるということでございますが、さらなるスピード感を持って進めていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。時間もなくなりましたので、要望させていただきました。  今回、私は、農政、環境森林、県土整備に絞って質問させていただきましたが、特に農政については4項目についてお伺いし、しっかりした答弁をいただきました。農家の皆さんは、戦後の歴史の中で、地主制から農地解放による分散、そして現在は、担い手への集積・集約化、米の増産に向けた開田政策から米生産過剰による減反政策へ、そして今があります。時代背景もありますが、真逆とも言える政策の中、しっかりと営農を続けてまいりました。人類が生きていくため、絶対必要な食、食は命の源、食イコール農業であります。農業は何があっても守り、そして育てていかなければなりません。今回の質問は、県民の皆様が今何を望み、何を求めているか、栃木の元気のため、そして命の大切さという観点からお聞きしてまいりました。ぜひ知事初め執行部の皆様には、命の大切さを重視し、栃木の元気のための県政のかじ取りを行っていただきますようお願いし、私の全ての質問を終了させていただきます。ありがとうございました。 ○小林幹夫 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午前11時 休憩       ――――――――――――――――――――――――――――― ◎原山光史 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は45名であります。       ―――――――――――――――――――――――――――――     午前11時15分 開議 ○若林和雄 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 通告に従いまして質問を始めさせていただきます。答弁のほど、よろしくお願い申し上げます。  初めに、フードバンク事業を活用した貧困対策について、知事に伺います。フードバンク事業とは、まだ十分に食べられるのに売り物にならない食品や家庭の台所の片隅に眠っている食品、行政の災害備蓄品の入れかえのときなどの品々を集め、必要な人に届ける事業です。この食品を寄附してもらい、生活困窮者等に無料で届ける取り組みは、約50年前にアメリカで始まり、今、日本各地でも取り組みが始まっています。  栃木県内では、とちぎボランティアネットワークが2011年に宇都宮市で始めました。大田原市、日光市、那須烏山市へとその後広がり、その受け入れ量は、2015年で10トン弱、2016年には約13トンと確実にふえています。ほかにも栃木市、佐野市、小山市、高根沢町などの各地でも取り組んでいます。その食品の配布先ですが、貧困世帯や子供食堂、福祉施設、路上生活者等となっています。食品を配ることは、単におなかが満たされるだけではなく、孤立しがちな貧困家庭が周囲とつながるきっかけとなり、そのほかの必要な支援も見えてきます。このように、フードバンク事業は、食を介して県民同士の助け合いの文化を育むことから、貧困対策としてとても重要な事業であると考えます。  そこで、このフードバンク事業を活用した貧困対策についてどのようにお考えなのか、知事の見解を伺います。 ○若林和雄 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの平木議員のご質問にお答えいたします。我が国におきましては、食料の多くを輸入に頼っている状況でありながら、平成26年度には年間約2,800万トンもの食品廃棄物が排出され、このうち、本来食べられるにもかかわらず廃棄される食品ロスが約621万トン発生していると推計されております。その一方で、さまざまな事情により日々の食事にも窮している人々が相当数存在する状況にあり、私は、こうした不合理な状況を解決に導く選択肢の一つがフードバンク活動であると考えております。  現在、県内におきましては、複数のNPO法人等により各地でフードバンク活動が展開され、企業や一般家庭等の協力を得ながら、福祉施設や困窮世帯などに食料が提供されております。また、平成27年度に開始された生活困窮者自立支援制度の取り組みとあわせて、今年1月の時点で14の市町社会福祉協議会がフードバンク等による食料支援を実施しております。こうした支援を契機に、日常生活を送る上でさまざまな課題を抱える人々の早期発見、早期支援に結びついている事例も多く見られ、フードバンク活動は生活困窮者等への支援策として大変有効であると感じているところであります。  今年度、県では、食品ロス削減に向け、庁内にワーキンググループを設置し、NPO等が行うフードバンクなどの活動促進についても検討していく予定であります。その中で、現在活動している団体等のご意見も伺いながら、県としてどのような支援ができるか検討してまいります。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 活動促進に向けて検討していくというご答弁を頂戴しました。  保健福祉部長に再質問いたします。フードバンク事業を行うにはさまざまな課題があります。まず、食品を集めに行く車やその人手、そしてまた、集めた食品の品種と重量をパソコンに打ち込み、そしてそれを賞味期限ごとに棚にずっと分けていくため、非常に人手が要ります。倉庫ももちろん必要です。そしてまた、配る際にもその数量を記録します。これらは手間がかかる作業なのですが、集める食品はあくまでも賞味期限内のものであり、それらはいかなる事情があっても換金してはならないという鉄則がありますので、現状は全てボランティアで活動しているようです。  前橋市では、貧困対策の一環として、フードバンク事業をNPO団体に委託して、食品の集積拠点――倉庫です――の運営費など約870万円を2017年度に当初予算に計上しているとのことです。佐賀県では、ふるさと納税でNPO団体への指定寄附も集めています。栃木県でも、例えば倉庫代と1人分の人件費の支援があるだけでもその活動はさらに広がります。今後、貧困対策を一層推進していくためにも、ほんのわずかでもフードバンク事業に支援できないものか、保健福祉部長に伺います。 ○若林和雄 副議長 山本圭子保健福祉部長。 ◎山本圭子 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。議員ご指摘のとおり、多くのフードバンクが寄附金や会費、ボランティアなどにたくさんかかる労力を頼っているという状況にあるということは聞いております。フードバンクの状況や設置主体によって必要となる支援、求める支援というのは変わってくると思いますので、関係団体の現状やご意見なども伺いながら、県としてどのような支援ができるか検討していきたいと思います。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) わかりました。私は、この事業がどうしてすばらしいかといいますと、これから少子高齢化で生産年齢はどんどん減っていって、医療、介護費のかかる高齢者の人口はどんどん右肩上がりにふえていく。本当に公助だけではもうやり切れない時代の中で、これはもう共助だと思うのです。ともに助け合う、こういった事業が、例えば1人の職員の専属スタッフを雇うことによって、その人が10人のボランティアに声をかけて、10人分の働きの一つのそういった助け合いの社会をつくっていくという意味では、本当に意義の深いものだと思っております。  平成28年2月の議会答弁の中にも、フードバンクについて庁内に部局横断による検討チームを設けることとしたとありました。知事の公約の中にも「NPOなどが行う活動を促進します」とあります。質問はいたしません。今後、いろいろなNPOに対して、社会福祉協議会でやっているところももちろんございますし、いろいろなNPOのヒアリングを行って、何とか支援して、公助だけではない、助け合う社会を目指すことを、よろしくお願いいたします。  続きまして、消費者行政の充実について、県民生活部長に伺います。ここ数年の消費者被害は減少しているものの、相談件数は80万件から90万件と相変わらずの高どまりの傾向にあります。高齢者に対しては、電話勧誘や訪問勧誘による被害が発生しています。頼んだ覚えもない生鮮食品や健康食品を送りつけて、証拠があると言って強引に代金を請求し、一旦その手口にひっかかってしまうと、カモリスト――カモというのは「いいカモだ」のカモです――なるものが業者間に出回り、次々と強引な勧誘で契約させられるといった二次被害も発生しています。また、若者に対しても、インターネットの無料サイトから入ったはずが、いつの間にか有料サイトに登録されてしまい、高額な料金を請求される事例や、友人に必ずもうかるなどと誘われて、商品等の販売組織に加入させられ、消費者金融から借金やクレジット契約を結ばせるマルチまがいの商法の例もふえております。  さて、県内21カ所の消費生活センターの相談員にはこれまで3つの資格がありましたが、これに加え、昨年4月に改正消費者安全法が施行され、消費生活相談体制を強化するために、消費生活相談員という国家資格が新たにできました。この国家試験は、消費者関係法令や民法など、30から40の法律を学ばなければなりません。個人での学習にはおのずと限界があります。これに伴いまして、本県でも今年度から国家資格レベル取得講座を始めています。しかしながら、受講対象は、現在県内の消費生活センターで働く現役の相談員に限られています。長野県では、相談員だけではなく、広く一般の人にも受講できるようにしています。本県においても、昨年は14人がこの試験に合格し、そのうち相談員以外の人も3人ほどいたと聞いております。  そこで、消費者問題に興味のある県民にも受講資格を広げ、相談員の層を厚くして、消費者行政の充実を図るべきと考えますが、県民生活部長の所見を伺います。 ○若林和雄 副議長 和田裕二県民生活部長。    (和田裕二県民生活部長登壇) ◎和田裕二 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、住民にとってより身近な相談体制の構築が重要なことから、県内全ての市町に設置されました消費生活センターの充実・強化に向けた各種施策を推進しているところでございます。具体的には、県消費生活センターの消費生活相談員の市町への派遣、あるいは市町の消費生活センターからの相談対応窓口でありますヘルプデスクの設置等によりまして、困難事案について助言を行うなどして、県内の消費生活相談体制の強化を図るとともに、栃木県消費生活相談員人材バンクを活用いたしまして、相談員の確保を支援しているところであります。さらに、これまで相談員を対象に実施してまいりました関係法令等の各種研修に加え、今年度から新たに国家資格レベル取得講座を設け、まずは業務に従事している消費生活相談員の一層の資質向上に努めているところであります。  今後も、県民の消費生活の安定や向上の実現に向け、市町消費生活センターと連携・協力しながら、消費者行政の充実・強化に努めてまいります。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 県民生活部長に再質問いたします。まずは現在の相談員を中心にということなのですが、今現在、インターネットなどのそういった消費者問題が大変出てきております。例えば、今現在は、常勤職員よりも非常勤職員の相談員が多くて、1日平均の報酬が7,000円から8,000円と聞いております。例えば、この受講資格の裾野を広げれば、若い男性の相談員など、正義感に燃えていて、そしてなおかつ、インターネットトラブルなどに強い、そのような男性職員を雇うこともできるし、今現在ほかの仕事についていても、そういう人たちが資格を取ることで、今主婦が多い、そのような相談員の中に入ってこられるようになるためにも、報酬のアップに向けて、どこでも雇用は市町との契約ではありますけれども、県として相談員の人件費の支援を行う等、身分の保証や処遇改善を市町へ積極的に働きかけてはどうかと考えますが、県民生活部長の所見をお伺いいたします。 ○若林和雄 副議長 和田裕二県民生活部長。 ◎和田裕二 県民生活部長 ただいまの再質問にお答えいたします。市町に対する支援につきましては、先ほどの答弁の中でお答えいたしました県の職員の派遣でありますとか、ヘルプデスクの設置などをしているところでございますけれども、さらに加えて、市町の消費生活センターの相談員に県の消費生活センターに来ていただいて実務研修をしていただくとか、あるいは法律相談の中の専門相談も、窓口を設けてさらなる充実に努めているところであります。  議員からお話のありました人件費の部分でございますけれども、現在、県消費者行政活性化事業費補助金によりまして、市町の相談員の平成20年度と比較して増強された部分につきまして、一定の支援をしているところでございます。  今後とも、市町の消費生活センターの相談体制の充実・強化に向けて、適切な支援に努めてまいりたいと考えております。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 私としては、やはりもっともっとこの消費者行政は相談員の人たちの裾野を広げてほしいということもございまして、その意味では、やはり多くのいろいろな人たちがこの業界に入ってきて、相談員となって、消費のこういった悪質な業者等と渡り合える、そのような体制を求めております。今のところはちょっと思ったような答弁はいただけなかったのですが、要望します。  県内には、今、弁護士や相談員から成るNPO法人格の消費者団体があります。このたびも消費者110番を実施し、1日に6件の相談があったそうです。現在、悪質な業者に差しとめ請求権を行使できる適格消費者団体の認定を受けるために奮戦中です。こういった消費者行政、相談員の身分の保証や処遇改善、やはりこれは本当に喫緊の課題だと思っています。何といっても県民の財産を守るという意味から、やはりこの消費者行政にもうちょっと力を入れていっていただきたいということを要望いたしまして、次の質問に移ります。  次に、産後ケアの充実について、保健福祉部長に伺います。核家族化が進み、里帰り出産もままならず、孤立無援の中で出産を余儀なくされる女性がふえています。出産年齢も上がり、思いどおりにキャリアを積んで生きてきた女性たちにとって、出産はこれまでとはまた違ったなかなか厳しい体験となります。そんな中、国ではお産の後、退院直後に不安に陥ったり、鬱的になったりしたお母さんに対し、育児サポートや心理的ケア、カウンセリングなど、また必要と認められれば、母子のデイサービスやショートステイも利用できるという産後ケア事業を始めました。この事業の実施主体は市町であり、自己負担以外の費用は市町と国が2分の1ずつ負担するものです。産後ケアを行う産院も県内にも数カ所できているという朗報もあります。一方で、市町の中には産院がないところもあります。県内のあらゆる妊産婦さんたちが一定のサービスを受けられる体制を整えていくためには、市町単独では限界があります。  このような産後ケアや出産した産院で行われる産婦健康診査は、産後鬱や乳幼児虐待予防のためにも大変有効な事業であると考えます。体の様子に加えて、精神状態の把握などを強化するためにも、助産師や看護師などへの専門研修が必要と考えます。  そこで、母子手帳交付の時点から妊娠期、子育て期にわたる支援を切れ目なく提供できるよう、県が産後ケアに積極的に関与し、市町を超えた広域的な調整を行うべきと考えますが、保健福祉部長の所見をお伺いします。 ○若林和雄 副議長 山本圭子保健福祉部長。    (山本圭子保健福祉部長登壇) ◎山本圭子 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。妊産婦の心身の不調を早期に発見し、早期に必要な支援を開始することは重要であり、市町が産婦健康診査及び産後ケアを実施するに際し、医療機関との調整などが課題となっております。  県では、その体制整備に向け、産後ケア、産婦健康診査の実施上の課題などについて、本年7月に市町担当者と情報交換会を開催したほか、8月には医療機関を対象として実施状況や受託可否などの調査を実施したところです。引き続き、市町と情報交換に努めるほか、市町と医療機関の間で円滑なやりとりができるよう、必要な調整を図ってまいります。あわせて、質の高い産婦支援につなげるため、医療機関関係者や市町の専門職等を対象とした研修会を開催するなど、妊娠期からの切れ目のない支援が適切に行われるよう、積極的に取り組んでまいります。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 要望いたします。具体的には産後ケアの内容や料金等、産院にポスターを掲示する、または母子手帳の交付のときに、そういった産後ケアがありますよという産院の名前なども書いたリーフレットなど、県でそのような啓発グッズを用意して、この事業の周知を図っていっていただきたいと思います。要望です。  続きまして、介護従事者の実態把握について、保健福祉部長に伺います。介護従事者の不足は今や喫緊の課題となっています。国でもこれまでに何度か処遇改善策を実施してきました。平成29年の社会保障審議会の介護給付費分科会に示された資料によりますと、平成21年4月、介護報酬改定で9,000円、同年補正予算で処遇改善交付金1万5,000円、平成24年4月の介護報酬改定で6,000円、平成27年4月に1万3,000円、それらを累計しますと、月額5万3,000円相当のアップという数字が実績として挙げられています。しかし、介護現場では、非正規雇用の人たちが多いわけですが、そのパート職員や嘱託職員の方々の賃金が実際に幾ら、どれだけアップしたのか、介護職の人たちにその実感がない限り、働く人たちはふえません。  県内の介護人材の不足は今に始まったことではありません。これまでにもそれらの国の改善策が県内では実際にどれだけ功を奏しているのかを調べることが重要であると考えます。その場合、雇用する事業者への調査だけで判断するのではなく、実際に現場で働く人たちの生の声の調査が必要と考えます。  そこで、介護従事者の実態把握についてどのように考えているのか、保健福祉部長の見解を伺います。 ○若林和雄 副議長 山本圭子保健福祉部長。    (山本圭子保健福祉部長登壇) ◎山本圭子 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、介護従事者の処遇改善の実態について、介護職員改善加算の実績報告書により、改善した給与の項目や金額などを確認するとともに、事業所に対する実地指導においては、証拠書類などにより、加算額が介護職員の賃金改善に適切に充てられているかどうかなどの確認を行っております。また、本年10月に国が実施する調査においては、この加算の効果や加算取得が行われない理由などを調査することとされております。あわせて、介護労働安定センターが毎年実施する介護労働実態調査においては、非正規職員を含む賃金水準や労働条件などとともに、労働者の意識調査が行われており、県としては、これらの調査結果についても実態把握に活用していきたいと考えております。  今後ともこうした実態把握に努め、従事者の処遇改善や介護人材確保につなげてまいります。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 要望いたします。介護現場で働く人たちにこの話を聞きました。とてもとても5万3,000円なんて上がっていないと。それと県内でモデルとも言えるような社会福祉法人の特別養護老人ホームの施設長にもお話を聞かせていただきましたが、大体三万四、五千円のアップだということです。その処遇加算が目に見える形でなく、ボーナスの中に入ってしまったり、なかなか実感として働いている人たちにはね返っていないということがございます。私の周辺でも、働く人、介護職の不足でショートステイを閉鎖する方向に――ご利用者がいないわけではない。介護職が不足なので、ショートステイを閉鎖する方向に動き出した事業者もあります。せっかくの国の処遇改善の施策が空回りしているという感じがいたします。  県内にはヘルパーや介護士の協会、団体がございますので、そういったところを通じまして、事業者に対する調査だけではなく、本当に働く人たちの調査、アンケートをとって、実際にあなたはこの10年で――この5年でもいいです――幾ら上がりましたかということをやはりきちんと把握していただきたい。国の施策でも、県の施策でもそうですけれども、やはり事前事後、とりわけ事後のアウトカム、どれだけの成果があったのかの検証をきちんと行って、達成度や、また進捗しなかった理由などをきちんと調べて、データをとり、そのすき間を埋めるように次の施策を打ち出していくことが必要と考えます。  今度10月に国の調査ということでしたが、今後、県独自でもそういった調査を、今はネットでできますので、どこの事業所とも県はつながっていると思いますし、市町ともつながっていると思いますので、県がネットで調査をかければ、すぐに答えてくれるものと思われます。国の調査に頼らずに、県独自で迅速な調査に取り組んでいただきたく、切に要望いたします。  次に、障害者差別解消に向けた取り組みについて質問します。まず初めに、精神障害者に対する支援について、保健福祉部長に伺います。県では、平成28年4月に栃木県障害者差別解消推進条例を施行し、障害のある人たちへの差別をなくそうとさまざまな分野で努力義務を課しました。一方、現在、県内において精神障害者と他の身体や知的障害者は、受けられる割引等が依然として異なっています。とりわけ鉄道やバスの公共交通機関の利用の際の運賃割引制度は、身体・知的障害者を対象としていますが、精神障害者は対象となっていないことが多くあります。通院や就労支援施設等への移動の際も、交通費がかかるため大変で、外出を控えてしまうこともあるといいます。  鹿沼市での児童死亡事故をきっかけに、道路交通法が改正され、精神疾患であるてんかんなどの一定の病気等を有する方については、医師の診断書等に基づいて、自動車運転免許の取り消しや停止処分を受けることになりました。この法改正の検討会では、病気にかかっている人が運転免許を失っても生活に不自由することのない社会をつくること、また、交通運賃の減免制度の全国的拡充といった取り組みが必要と言及されており、精神障害者の交通手段の確保が求められています。現在、身体・知的障害者は障害者手帳を掲示することで公共交通機関の運賃が半額になります。本県の身体障害者手帳交付者は7万553人、知的障害者の療育手帳交付者は1万6,456人であり、精神障害者保健福祉手帳交付者は1万1,456人となっています。3つの障害を合わせますと9万8,465人、そのうちの精神障害者は11.6%にすぎません。  そこで、県は、各公共交通事業者に対し、精神障害者を運賃割引制度の適用対象にするよう要請を行うべきと考えますが、保健福祉部長の所見を伺います。 ○若林和雄 副議長 山本圭子保健福祉部長。    (山本圭子保健福祉部長登壇) ◎山本圭子 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。精神障害者にとって、公共交通機関は、医療機関への通院や障害福祉サービス事業所への通所、通勤など、自立と社会参加を促進する上で重要な移動手段です。一方、障害者に対する公共交通機関の運賃割引は、交通事業者の自主的な判断により行われており、精神障害者については、一部の事業者を除き、対象とされていない状況にあります。このため、昨年10月には、県議会から国に対して、精神障害者に対する公共交通運賃割引制度の適用を求める意見書が提出されたところであります。  県としても、精神障害者施策の充実に向け、引き続き、運賃割引制度の適用拡大について、県内交通事業者に働きかけてまいります。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 保健福祉部長に再質問いたします。JRやバスなどの交通機関に対して、今現在、身体障害者や知的障害者の手帳を示して割引をしている乗客の人数や割引料金などについて調査をしてはいかがでしょうか、伺います。 ○若林和雄 副議長 山本圭子保健福祉部長。 ◎山本圭子 保健福祉部長 現在、栃木県内では、路線バス事業者は6事業者ありますが、精神障害者保健福祉手帳を提示することによる運賃割引を実施しているのは2社ということで、33.3%の事業者が実施しています。関東地方でありますと、バスに限られている話ですが、62.3%実施しているという状況にはございます。  県といたしましても、先般の議会からのものも受けまして、バス事業者には先日要請したところでございますので、引き続き検討してまいりたいと思います。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 保健福祉部長に再質問いたします。6事業者のうち残りの4事業者というところでは、私が申しました手帳を示して割引をしている人数とか、それからどのぐらいの額がそれによって業者の負担になっているのかといったことはわからないものでしょうか。 ○若林和雄 副議長 山本圭子保健福祉部長。 ◎山本圭子 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。実施していない事業者の状況ということでございますが、具体的な人数はこちらでは把握しておりませんが、平成25年にバス事業者に働きかけた際にも、やはり費用負担についてのご意見はいただいて、内部で検討したが、なかなか難しいという回答をいただいております。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 保健福祉部長に再質問いたします。そうしますと、精神障害者は全障害者のうちの11.6%ですよね。例えばその分がどのぐらいになるものかといった試算は、33.3%の2社の中から調べることはできないものでしょうか、伺います。 ○若林和雄 副議長 山本圭子保健福祉部長。 ◎山本圭子 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。精神障害者の場合、手帳の保持率と、あと自立支援医療制度の受給者証を持っている率を比べますと、自立支援医療制度の受給者証を持っている方が2倍程度いるという状況がございまして、その背景には、手帳を持ったところで受けられるメリットがないというところと表裏の関係はあるかと思います。ですので、11.6%というところが正確なものかどうかというところはありますし、最近、認知症も含め、精神疾患がふえているという現状もあるかと思います。バス事業者など交通事業者にどのような理由でできないのかなどの緻密な状況などについては、県としても今後、お伺いしてまいりたいと思います。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) もう一つ再質問がありますが、その前に要望しておきます。障害者差別解消推進条例が栃木県にもできました。どうしても精神障害者だけおくれているということが大変気になります。今、保健福祉部長がおっしゃったように、自立支援医療費はもらうけれども、手帳を持っても何の役にも立たないというのがやはり精神障害を持った方のご意見です。これで本当に交通機関が半額になるのであればということを言われておりますので、ぜひその辺は一歩踏み込んだ形で策を講じていただきたいと思います。  次に、もう一度保健福祉部長に再質問いたします。精神障害者には医療費の助成も課題として挙げられます。身体や知的障害者には重度心身障害者医療費の助成として、費用の2分の1が県、2分の1を市町が負担しています。しかし、栃木県では精神障害者は対象となっていません。関東地方で助成制度がないのは東京都と栃木県です。東京都も無償化に向けて今動き始めたといいます。他県には、差こそあれ、無償や1割程度の負担など、何らかの助成があります。
     そこで、本県でも医療費への助成に向けて支援策が講じられないものか伺います。 ○若林和雄 副議長 山本圭子保健福祉部長。 ◎山本圭子 保健福祉部長 ただいまの精神障害者への医療費助成に関する再質問にお答えいたします。精神疾患については、通院医療が比較的長期にわたるということが多いことから、国の自立支援医療制度で通院に係る医療費の助成、負担軽減を行っているところです。その精神障害者への医療費助成の入院等への拡充ということだと思いますが、入院から地域移行へという動きがあるということ、また市町の意向なども踏まえて検討してまいります。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 要望しておきます。やはりそこの差別、歯科にかかりたくても、身体、知的の方は助成が出ますけれども、精神の方だけは出ない。同じ障害者でありながら、どうして精神だけはこんなにおくれているのか、やはりその辺を私は今後とも事あるごとに申してまいりたいと思います。ぜひとも医療費に対する助成も、きちんと栃木県としても対応していただきたく、よろしくお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。特別支援学校における医療的ケア児への対応について、教育長に伺います。現在、医療的ケアを必要とする子供たちは全国で1万7,000人以上いると言われています。文部科学省の2016年度の調査では、人工呼吸器を使用する幼児、児童生徒は全国の公立特別支援学校の幼稚部から高等部に1,333人いるとのことです。このうちの多くは教師が自宅や病院に出向いていく訪問教育で、通学している子供たちは449人おります。その中には、保護者が常時子供たちに付き添って、たんの吸引など医療的ケアを行っている事例もあります。しかし、保護者が終日、幼児、児童生徒に付き添っていなければならないことは、心身ともに大変なことと思われます。  このような中、人工呼吸器を使用する医療的ケア児に対し、保護者が付き添わなくても学校に通える機会を広げようとする動きが全国で出ております。そして、本県の特別支援学校においても、保護者にかわって、看護師がケアを担うことを希望する事例が挙がっています。厚生労働省の研究班では、東京、埼玉など4都県の特別支援学校などで、保護者にかわって看護師が医療的ケアを担えるよう、来年度にも制度化につなげたい意向のようです。研究代表者である埼玉医科大学総合医療センターの田村正徳氏によりますと、「家族以外との交流は子供の発達によい。子供が学校に行っている間はお母さんたちが休息できるだけでなく、就労などの社会参加にもつながる」と述べています。  そこで、本県の特別支援学校における医療的ケア児への対応についてどのように考えているのか、教育長の見解を伺います。 ○若林和雄 副議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。特別支援学校におきまして、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアの必要な幼児、児童生徒の多くはケアの内容が複雑でありますことから、本県におきましては、医療の専門家である学校看護師を適切に配置し、医療的ケアを実施しているところです。中でも、人工呼吸器を使用する幼児、児童生徒につきましては、自発呼吸の有無などの個別の状況を十分に検討し、主治医の指示書に基づきまして、学校看護師または保護者がケアを実施することとしております。特に自発呼吸がない場合には、生命の危険が懸念されますことから、病院隣接の学校への就学、あるいは訪問教育を勧めるなど、保護者と十分な話し合いを行い、慎重に対応を判断する必要があると考えております。  今後とも、医療安全の確保を第一とし、幼児、児童生徒が安全で快適な学校生活を送れるよう、指導、支援の充実に努めてまいります。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 教育長に再質問いたします。県内の特別支援学校においても、人工呼吸器を使用し通学している子供の中に、保護者が常時付き添っている事例があります。呼吸器を利用している子供たちの親の会、バクバクの会というのが関西にありますが、そこの調べでは、滋賀県、愛媛県、大阪府、京都市、神戸市などの支援学校では親の付き添い条件はつけていないとのことです。入学時から付き添いは不要で、引き継ぎの間、1週間ほど別室待機しているとのことです。  そこで、本県でも看護師の配置等による保護者の負担軽減に向けた支援が必要と考えますが、改めて教育長の所見を伺います。 ○若林和雄 副議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。人工呼吸器を使用している幼児、児童生徒の中でも、生命の危険がある場合には、学校看護師による対応には限りがありますことから、保護者と十分な話し合いを行い、いかに安全で快適な学校生活を送ることができるかという観点から、慎重に対応を判断する必要があると考えております。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 教育長に再度質問いたします。これは申すまでもなく、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の問題だと思います。安全の確保とおっしゃいますけれども、人工呼吸器をつけたお子さんは自発呼吸ができない。人工呼吸器がなければ生きていけないお子さんです。しかしながら、やはり親としては、その年代の子供たちが遊ぶ姿、そして歌を歌ったりする、そういったものを耳から聞いたり、目から見たり、子供たちの間でやはり学校生活を送らせてやりたいというのが親の願いだと思います。そして、その子は、確かに自発呼吸はできない。人工呼吸器です。しかしながら、そういった人工呼吸器をつけたお子さんたちは、それそのものがもう生なわけです。人工呼吸器をつけているから、ほかの人とは一緒に、なかなか同じような扱いはできないというのは、障害者差別解消推進条例ではうたっていません。  例えば今現在、お母様のお話を伺いました。カーテンで仕切られた2畳の部屋に、朝8時半から、6時間授業のときは午後3時半までずっとその2畳の部屋で付き添っている。ちょっと想像してみていただきたいと思います。本当にそういったことが栃木県内で行われている。だったら訪問学級がいいのではないか、だったら訪問学級で、家に教師が行けばいいではないかといったようなにもちょっととれるような発言もありましたが、家にお母さんと2人きりでいて――お父さんでもいいです――そこにそういった先生が通ってきていろいろな勉強をする。そうではなくて、やはり普通の子供と同じように、特別支援学校でもいいですが、普通の学校に行って、ほかの子たちと触れ合わせてやりたいと思うのがやはり親の気持ちではないのでしょうか。その辺はいかがですか、教育長に伺います。 ○若林和雄 副議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。議員ご指摘のとおり、子供たちは学校においてさまざまな子供たちと触れ合い、教員と触れ合い、そういう中でさまざまなことを身につけていくものだろうということは当然のことであります。そういう環境の中で子供たちを教育したいという思いは、我々のほうは当然あるわけでございますので、そういう意味から、保護者と十分な話し合いを行う中で、安全に教育が受けられる場所、それから施策、そういうものを学校としては考えているところでございます。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 教育長に再質問いたします。先ほどから生命の危険、安全の確保というお話がございました。しかしながら、もうご両親も覚悟はできております。そのお子さんが生まれて、人工呼吸器をつけなれば生きていけない、そういったお子さんと一緒に生きてきているわけです。そのお子さんも人工呼吸器をつけながら、いつかは亡くなっていくわけです。いつになったら人工呼吸器が外れるということはないのです。そうしましたら、安全の確保とおっしゃいますけれども、親御さんのほうもそれなりの、また主治医の意見も伺ってきました。何かあったときはもう救急車でということで、いろいろな特別支援学校で、人工呼吸器のお子さんを預かっているところでは、消防団、近くの消防署、主治医、人工呼吸器の会社、それから学校、看護師、訪問看護師、そういった方々とチームを組みまして、何とかしてこのお子さんが学校で安全に過ごせないものか、マニュアル化しています。そういったマニュアルのもとに、何かあったときはすぐどうするということがきちんと決まっているわけです。ですから、その辺は、学校長の許可といっても、学校長はやはり教育委員会の意見を非常に重んじると思うのです。そこは教育長ご自身の覚悟でもあると思うのです。教育長は栃木県内の子供たちをみんなとても愛していることと思います。教育長ですから、子供たちはかわいいと思います。そういった中で、人工呼吸器をつけているから危ない。でも、親御さんは、それでもなおかつ子供たちと一緒に、その声を聞きながら、姿を見ながら、普通の子と同じように過ごさせてやりたいという願いがあるわけです。それに対して応えられないというものは一体どうなのでしょうね。せっかくできたのにもかかわらず、余りにも障害者差別解消推進条例に反しているのではないかと私は思います。  教育現場における典型的な差別事例は、就学の拒否、条件づけ、合理的配慮の不提供であり、それを解消していくのが障害者差別解消法です。障害者差別解消法の目的は、これまで他者との平等な参加を妨げてきた社会的障壁を除去し、共生社会を目指すものです。そして、合理的配慮の目的は、平等な参加の確保です。つまり、みんな一緒に参加できていない差別を変更調整することです。  2006年の国連障害者権利条約では、障害のある人は保護の対象から権利の対象へと位置づけられました。障害のない人と同じ権利を行使できることが差別がないということです。子供は子供同士のかかわり合いの中で学ぶと言われています。文部科学省の障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針の中の不当な差別的取り扱いというのはどういうことかという、その基本的な考え方の中に、サービスや各種機会の提供を拒否すること、または提供に当たって場所・時間帯などを制限する、そして、障害者でない者に対しては付さない条件を付すこと、これらは「権利利益の侵害である」とあります。  誰が望むのでもない。親御さんが、そういった特別支援学校に通って、毎日毎日通うわけですから、親御さんも大変だと思います。そんな中でずっと1日ついていなくてはならない。  私がなぜこの質問に時間をかけたかといいますと、私はこの人工呼吸器をつけている子供たちに非常に関心があるからです。なぜかといいますと、もう亡くなってしまいましたが、私は以前、人工呼吸器をつけた青年のボランティアをしておりました。夜間に泊まり込みもやりました。パタン、パタンという人工呼吸器の音、人工呼吸器の管が外れれば、ピーピー、ピーピーと鳴ります。吸引の音も、たんがたまればピーピー、ピーピー、アラームが鳴ります。私が寝入ってしまったらこの青年は死ぬぞと、そういった緊張感の中で暮らしていました。だから、その人工呼吸器をつけている子供たちの親御さんの毎日の緊張感、夜な夜なですよね。疲れてしまいます。本当に疲れると思います。そういった思いをはせていく。だから、そういった人工呼吸器をつけた子供のお母さんが夜もゆっくり眠れない。そしてまた、例えば私がボランティアをして夜泊まると、次の日の夜は眠れないです。緊張感がずっと残っていて、またはっと目が覚めて、ああ、今日はいいんだ、そんな感じでした。ですから、その親御さんたちがどれだけの思いをしながら日々その人工呼吸器の管理をし、命をつないでいるのか。そういった親御さんが、カーテンの2畳の部屋の中で5時間も6時間もじっとそこにいなければならない。そういった不合理、合理的な配慮が余りにもなさ過ぎる。例えば1週間に1回からでもいいから、そういったことを取り組んでみようかというお気持ちにはならないでしょうか、教育長、お願いいたします。 ○若林和雄 副議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。まず、最初に言われておりました障害者差別解消法関係ですけれども、本県条例では、障害者の生命の安全の確保のため、やむを得ないと認める場合を除き、障害を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならないという規定でございますので、私といたしましては、不当な差別的取り扱いには当たらないのではないかとは考えているところです。  それから、合理的な配慮につきましても、そういう意味から、子供に対する合理的配慮という点から、先ほど来、保護者との十分な話し合いの中で、安全・安心に学校生活が送れるようにというお話もしてきているところです。答弁でも申し上げましたように、生命の安全確保と医療安全の確保という点から、学校看護師が実施しているという話をいたしました。教員はケアは実施しておりませんけれども、当然機器の準備等、それから授業での子供の状態等を伝えている。間接的な手伝いということになりますけれども、連携しているところです。  いずれにしても、今後につきましては、国の動向等もあると思いますけれども、保健福祉部局などとも、意見等をいただきながら、適切な対応の方向を探っていきたいとは考えております。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 合理的配慮の中の過重な負担、そういった形でまさか返されるとは私は思いもしませんでした。代替措置も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じ、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応されるべきであるといった文言もございます。要は教育長、または知事のお気持ち一つ、覚悟一つ、これは法律に違反しているわけでも何でもありません。やっているところはもう既にやっています。国もそういった方向にということで今研究を始めております。想像力の問題だと思うのですが、そういったところで親御さんがついていなくてはならない。これは1人、2人の問題ではなくて、その後に続く人工呼吸器をつけたお子さんたち、そしてご両親たちがたくさんおられます。そういった人たちにもどのような影響が出てくるかということなのです。1人だから個別だからとか、2人だから個別だからとか、そういった問題ではなくて、そういった人たちが本当に社会の中でみんなと一緒に平等に生きていけるという、それはもう教育長、または知事のお気持ちの、覚悟の一つだと思うのですが、いかがですか。例えばこれから先、この問題に関してどういうふうに進んでいかれるのですか。お願いします。 ○若林和雄 副議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答えします。繰り返しになりますけれども、議員ご指摘のように、学校で子供たちが教育を受ける、子供たちの中でさまざまな思い出づくりをしながら学ぶ、その大切さは私としても十分に理解している、体得、もう体にしみついていることでもございます。先ほど申し上げましたように、ここから、保護者の方々の負担軽減というんですか、つらさというのはもう十分に私自身も想像はできますし、先ほど申し上げましたように、福祉関係のところとも、ご意見をいただきながら、学校として何ができるか探っていきたいと考えております。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) 何ができるかというのは、もうできることは決まっていると思います。看護師の配置をして、そしてなおかつ、もう一つありますが、文部科学省の調査では、医療的ケアの実施方法について、平成28年度は13県が看護師のみの実施となっており、34都道府県は看護師と教員の連携により実施しています。看護師配置のほかに、特定研修第三号を受ければ教員や介助者も医療的ケアができますが、栃木県はゼロと聞いています。また、本県では研修会自体を開いていないとのことですが、看護師の負担軽減も含めて、今後開くようにしてはいかがなものでしょうか、教育長の所見を伺います。 ○若林和雄 副議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答えします。今お尋ねの研修会につきましては、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく喀痰吸引等研修における第三号研修ということと存じますけれども、本県では、これまでのところ、医療の専門家である学校看護師がケアを実施することとしておりますので、教員が研修を受けてケアを実施するということは想定してきておりません。  今後は、先ほど来申し上げているように、適切な対応の方向について探っていきたいと考えております。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) なかなか思ったような答弁はいただけない。結局はこれまでどおりということなのでしょうか。教育長が想像力を働かせていただくのが一番なのですが、想像力が働かないというのであれば、やはりその場に行って、お母さんが6時間なり7時間なり、その2畳の部屋で待っているという、それを一緒に体験していただきたい。結局はそういった現場からやはり変えていくということなのではないでしょうか。その辺、もう一度、教育長の前向きな――週に1回でも何とかしてほしいという私の思いですが、いかがでしょう。 ○若林和雄 副議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答えします。先ほど来申し上げておりますように、今、訪問看護制度等もありますけれども、そういうものがどういうふうな形で学校の中で利用できるのか、活用できるのか、そういうことも含めて探っていきたい、検討していきたいと考えております。 ○若林和雄 副議長 平木ちさこ議員。    (2番 平木ちさこ議員登壇) ◆2番(平木ちさこ議員) やらない、やれない理由がたくさん述べられているなという感じが私はいたしました。非常に残念な思いです。どうしてここでもう一歩踏み込めないのか。主治医も学校に行って勉強することが可能であるとおっしゃっておりました。親御さんも望んでいます。また、ご本人もみんなと一緒にと。発語はできません。体も動きませんけれども、指先のボードでお話ができるという、知的には何の問題もないお子さんもおられます。この問題は、また引き続き私は追求していきたいと思っています。教育長、本当にその辺は、知事もそうですが、一つの大きな覚悟だと思うのです。何かあったらというのであれば、親御さんから一筆とったらどうですか。そして、消防署とか、主治医とか、それから人工呼吸器の会社、そしてまたそこに配置されている看護師、教員の皆さんとチームを組んで、みんなで1人の子供のために何とかしてノーマライゼーション、本当にみんなと同じような状況の中で学校生活を送らせてあげたい、そのような気持ちを醸成していただく栃木県教育委員会であってほしいと願っております。この問題、私はこれで諦めてはいません。よい方向に行くように、心からお願い申し上げます。  今回の質問は、この医療的ケアに私は非常に重きを置いておりましたので、消費生活問題など、もう少し詳しく突っ込みたかったところではございますが、引き続き、またこの消費者問題も取り上げさせていただきたいと思います。  以上をもちまして、私の全ての質問を終わらせていただきますが、やはり人に優しい栃木県であってほしいと思う。本当につらい思いをしている人たちの心に寄り添い、そして何か施策をしていただける、そのような栃木県であってほしいと心から願っております。障害者差別解消推進条例の名に恥じないような栃木県であるよう、今後ともよろしくご審議のほどお願いしたいと思います。以上をもちまして、私の質問全てを終わりにいたします。ありがとうございました。 ○若林和雄 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時15分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午後0時15分 休憩       ――――――――――――――――――――――――――――― ◎原山光史 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は45名であります。       ―――――――――――――――――――――――――――――     午後1時15分 開議 ○若林和雄 副議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) 本日は、健康を初め、教育、スポーツなど、全8項目にわたって質問してまいります。昼食後の時間帯、お疲れのところとは思いますが、知事を初め、執行部におかれましては、インパクトのある目の覚めるような、県民の皆様にわかりやすく、そして前向きな答弁をしていただきますようお願い申し上げ、早速質問に入らせていただきます。  初めに、健康長寿日本一とちぎの実現を目指してと題して知事にお伺いいたします。全国に800万人いる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年以降は、医療・介護需要のさらなる増加が見込まれております。いわゆる2025年問題に対応するためにも、健康寿命の延伸が望まれております。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことでありますが、一般的に高齢になると、体に何かしらの異常を抱えやすくなるものであります。長く健康で自立した生活を送るためには、日ごろから体を動かす習慣をつけることが重要であります。  平成28年、総務省が実施した社会生活基本調査によると、過去1年間に余暇活動としてスポーツを行った県民の割合は、5年前の前回調査から5.9ポイントふえて69.3%、全国10番目でありました。種類別に見ると、ウオーキングや軽い体操を実施した人の割合が最も高く、またジョギングやマラソンにも増加が見られました。年齢別に見ると、65歳から74歳が最も高く、定年後の高齢者が健康増進のために手軽な運動を積極的に取り入れていることがうかがえました。本県においては、平成26年に健康長寿とちぎづくり推進条例が施行され、各種施策が展開されてきたところであります。この条例の施行により、県民みずから健康づくりに努めるとの基本理念が浸透し、身近なスポーツの実施につながっているものと評価しております。  知事は、「とみかず元気宣言2016」で「健康・安心『元気なとちぎ』」を掲げ、ICTの活用やデータの見える化などによる県民の健康づくりを進めるとしており、その公約実現が県民の健康づくりの機運をさらに高めるものと期待しております。  そこで、これまでの取り組みの成果と課題を踏まえ、健康長寿日本一とちぎの実現を目指して、今後どのように取り組むのか、知事にお伺いいたします。 ○若林和雄 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの吉羽議員のご質問にお答えいたします。健康は、県民が生涯にわたって生き生きと暮らすための基本であり、豊かで活力ある地域社会を築くための基盤でもあります。県では、県民一人一人が心身ともに健やかに年を重ねていくことができる健康長寿日本一とちぎの実現を目指し、市町、健康づくり関係者、事業者等と連携し、全県を挙げて健康長寿とちぎづくり県民運動を推進しております。  本県におきましては、以前から肥満者の割合の高さや運動習慣の不足が指摘されてきました。このため、健康長寿とちぎづくり県民運動では、身体を動かそうプロジェクトを重点プロジェクトの一つに設定し、参加団体の自主的な活動を支援してきたほか、気軽にウオーキングを楽しめるとちぎ健康づくりロードを県内各地に設けるなど、県民が体を動かすことのできる環境づくりに努めてきたところであります。  議員ご発言のとおり、総務省の調査では、スポーツを行った県民の割合に増加が見られましたが、昨年度、県民の健康状態を把握するために県が実施した県民健康・栄養調査及び健康度見える化事業の結果によりますと、依然として肥満と運動不足の傾向が改善されていない状況にあります。今後は、これらの調査データの分析を進め、運動を初めとする生活習慣の改善に向けて、新たな施策や健康長寿とちぎづくり県民運動のより一層の推進に努めてまいります。  また、私は、情報を迅速かつ正確に伝達・共有できるICTは健康づくりにも有効と考えており、本年度は庁内に検討組織を立ち上げ、他県等の事例や市町、外部関係者の意見等も参考にしながら、本県の健康づくりに効果的なICTの活用について検討を進めていくこととしております。  今後とも、市町、関係団体、企業等と連携・協働し、健康長寿日本一とちぎの実現に向け、全県を挙げて取り組んでまいります。 ○若林和雄 副議長 吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) 知事から力強い答弁をいただきました。健康長寿日本一とちぎの実現に向けた今後の取り組みに大いに期待しているところであります。  ここで経営管理部長に再質問いたします。健康長寿日本一とちぎの実現に向けては、家庭とともに、職場での健康づくりの取り組みが重要と思われます。全国の企業においては、運動や健康診断の結果に応じ、ポイントを与え、賞品に交換したり、給与に反映したりするなど、社員の健康づくりのためのインセンティブ制度などの取り組みも進んでおります。こうした取り組みを県内の企業に広げていくためには、まず県庁内で率先して取り組む必要があると思います。  そこで、県庁内における職員の健康づくりの取り組みについて、経営管理部長にお伺いいたします。 ○若林和雄 副議長 金田尊男経営管理部長。 ◎金田尊男 経営管理部長 再質問にお答えいたします。職員の健康づくりにつきましては、これまで人間ドックの拡充や昼休みの職場体操、またストレスチェックなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。今年度は特に定期健康診断の受診率100%を目指す取り組みを展開しておりますし、また、7・8月を働き方改革の推進月間といたしまして、長時間労働の是正や職員の余暇活動の促進を図るといったことも展開しております。また、議員から民間企業でのさまざまな取り組みについて今ご紹介がありましたけれども、私もテレビや雑誌などでさまざまな事例を目にしております。こうした例も参考にして、工夫を凝らしながら職員の健康づくりを進めまして、県庁組織の活力を上げ、そして県政が大きく前進するようにしっかりと取り組んでまいります。 ○若林和雄 副議長 吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) 経営管理部長から職員の健康づくりの取り組みについて答弁をいただきました。県においては、さまざまな取り組みが実施されているようですが、昼休み等を使って元気ニコニコ体操といった、職場体操なども実施されているようです。そういういろいろな方面においても、インストラクター等の専門的な方を利用して実効性を持たせるような工夫も検討していただければ、非常に効果が上がるのではないかと思っております。  健康は最大の幸福であります。県民が健康で幸福に満ちた毎日を過ごせるよう、県のさらなる取り組みの充実に期待して、次の質問に移らせていただきます。  次に、災害時におけるドローンの活用について、県民生活部長にお伺いいたします。2年前、首相官邸の屋上で落下している無人航空機ドローンが発見されました。この事件以来、危険で規制の対象として一気に認知されたドローンでありますが、現在は、農業分野での農薬散布や生育状況の把握、土木分野での河川、橋梁、ダムの点検等、人口減少に伴う労働力不足への対策やコストダウンに有効であるとして幅広い分野でのドローンの活用が期待されております。  ドローンは、飛行時間が限られることや気象条件に左右されるといった課題が指摘されておりますが最近では、小型で高精度の撮影に適した機種、悪天候時にも使用できる防水・防じんタイプの機種、重量のある荷物を運ぶ大型の機種など、用途に応じたさまざまな特徴を有する機種の開発が進んでおります。  近年、気候変動に伴う大規模な災害が全国的に相次いで発生しており、災害時の被害状況を迅速かつ正確に把握する体制整備が求められております。県では、今年度、消防防災ヘリコプター「おおるり」を更新し、赤外線カメラを搭載するなど、性能が向上した新機体の運航を今月から開始したところであります。ヘリコプターでは得られない低空でさまざまな角度から詳細な画像情報の取得や人が近づけない現場での被災者の救助等、ドローンの高い機動性を生かすべきと考えております。また、災害現場でのドローンの活用には操縦士の技量が必要とされることや、定期的な機体のメンテナンス等を考慮すると、既に導入が進んでいる民間企業の活用も選択肢の一つとして検討すべきだと考えます。  さきの6月議会一般質問で、災害時におけるドローンの活用について山形議員が質問した際には、他の自治体における運用状況等を踏まえて、効果的な活用策について検討する旨の県民生活部長の答弁がありました。いつ起こるかわからない災害に備えて、ドローンの活用を早急に進めるべきと考えます。  そこで、災害時におけるドローンの活用についてどのように進めるのか、県民生活部長に伺います。 ○若林和雄 副議長 和田裕二県民生活部長。    (和田裕二県民生活部長登壇) ◎和田裕二 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。災害時の応急対応を的確に行うためには、被災現場の状況を迅速に把握することが重要であり、人命救助はもとより、被災状況の把握にも大きな役割を果たす消防防災ヘリコプターを補完するものとして、ドローンの活用は有効であります。  さきの九州北部豪雨災害等においても、国や民間企業等によりドローンを活用した情報収集が行われたところであり、本県では、先日実施いたしました総合防災訓練において、ドローンの空撮や映像の配信訓練を実施したところでもあります。ドローンの活用においては、民間企業の協力を得ることも重要でありますことから、県では、災害時に公共施設の被災状況をドローンにより把握するための協定を建設業関係団体と結んでいるところであります。さらに、災害発生時における迅速な情報収集や的確な初動対応のためにも、ドローンが活用できるよう、現在、災害時応援協定の締結に向け、民間企業と協議を進めているところでもあります。  今後とも、関係部局や民間企業等と連携し、災害時におけるドローンの活用を適切に推進してまいります。
    ○若林和雄 副議長 吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) 県民生活部長から災害時におけるドローンの活用について答弁をいただきました。被害状況の迅速な把握や二次災害防止のためにも、ドローンの活用に向けた早急な対応をお願いしたいと思います。  ドローンは、災害時のほか、通常の測量、点検、物流、農作物の育成管理等その活躍のフィールドは広がっております。今後とも情報収集、事例調査、民間事業者との連携等を進め、ドローンの活用について、全庁的に幅広く検討していただくことをお願いして、次の質問に移ります。  医療的ケア児の支援について、保健福祉部長にお伺いいたします。先ほど平木議員からも医療的ケア児の教育についてご質問がありました。私は違うアプローチで質問していきたいと思っております。  医療技術の進歩で、新生児や乳幼児の救われる命がふえたこともあり、新生児集中治療室(NICU)等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器の使用やたんの吸引など、家庭の医療的ケアが必要な障害児、いわゆる医療的ケア児が増加しております。厚生労働省の推計によると、この医療的ケア児は、平成27年度で全国1万7,000人以上とされており、この10年で2倍近くに増加しております。  医療的ケア児は、呼吸や食事など、生きるための医療機器等の使用が欠かせず、それが命に直結するものもあることから、介護する家族は常に対応に追われることになります。さらに、こうした医療的ケア児は、医療的ケアを行える看護師等の配置が困難との理由などにより、小中学校や幼稚園などに通うことができず、通える場合であっても家族の同伴が求められることがあります。こうしたことから、介護する家族の精神的・肉体的負担ははかり知れず、24時間365日気の休まることのない家族の精神的・肉体的負担を減らす取り組みが必要であり、医療の進歩で救われた命に対するその後の支援の充実が望まれます。また、医療的ケア児とその家族が住みなれた地域で安心して暮らせるようにするためには、必要とされる支援ニーズを的確に捉え、きめ細かな支援に生かしていく必要があります。  そこで、介護する家族の負担軽減を初めとする医療的ケア児の支援についてどのように取り組む考えか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○若林和雄 副議長 山本圭子保健福祉部長。    (山本圭子保健福祉部長登壇) ◎山本圭子 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。医療的ケア児に適切な支援を行うためには、保健、医療、福祉、教育などの関係機関の連携が重要であることから、栃木県自立支援協議会に医療的ケア児支援検討部会を設置し、施策の方向性等を検討してまいりました。今年度は、医療的ケア児の生活実態や支援ニーズに関する調査を行い、その結果、介護する家族への短期入所などのレスパイトケアや、医療と福祉の知識をあわせ持つ人材の育成・確保などの課題が明らかとなりました。あわせて、障害福祉サービス事業所や医療機関に対し、医療的ケア児の受け入れに当たっての課題などに関する調査にも着手したところであります。  今後、これらの調査結果を詳細に分析した上で、部会での協議を踏まえ、市町等と連携を図りながら、医療的ケア児と家族が地域で健やかに安心して暮らすことができるよう、支援の充実を図ってまいります。 ○若林和雄 副議長 吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) 保健福祉部長から医療的ケア児の支援に向けた取り組みについて、前向きな答弁をいただきました。医療的ケア児の親の負担軽減については、超党派の国会議員らでつくる永田町子ども未来会議が、医療的ケア児の受け入れを促すため、デイサービスなどの受け入れ施設に支払われる報酬加算の新設についての国への提言をまとめたところであります。政府は、来年度から医療的ケア児の受け入れ報酬をふやす方針を固めたとのうれしいニュースもあります。こうした国の動向を踏まえ、まずはしっかりニーズの把握に努め、それらのニーズに対応できるよう努めていただくことをお願いして、次の質問に入ります。  次に、農業における新たな品種や技術の開発について、農政部長にお伺いいたします。先日、私は県農業試験場公開デーに参加してまいりました。通常、余り県民が目にすることのない研究施設や装置などが展示されるとともに、農業試験場で栽培された農作物の販売、梨やブドウなどの品種の食べ比べ、クイズラリーなども行われており、子供から大人まで多くの人でにぎわっておりました。特に研究成果の展示では、農業試験場で開発され、生産現場への普及につながった米や麦、イチゴ、梨、花などの新品種がどのように開発されたか、また、農作物の病気や害虫の効果的な防除方法をどのように確立してきたかなどを写真やイラストを通じて詳細に知ることができ、これまでの農業試験場が本県農業の発展に大きな成果を上げてきたことが理解できました。また、日本全国で栽培されるビール麦の栽培面積の約7割、イチゴ栽培面積の約3割がこの農業試験場で開発された品種であります。  先ごろ中国において「スカイベリー」を商標登録されてしまったという問題が、阿部寿一議員から提唱されましたが裏を返せば、農業試験場で開発された品種のレベルの高さが海外でも評価されていることの証左であると思っております。先日、日EU・EPA交渉が大筋合意となりました。その他の地域との貿易交渉も進んでおり、今後、海外からの農産物の輸入もふえてきます。このような観点から、県としても十分にこの商標登録に対する危機意識を持っていただき、今後の輸出入に生かしていただきたいと思っております。  また、国内に目を転じてみると、少子高齢化による消費人口減少や産地間競争の激化など、農業をめぐる情勢は厳しくなっております。このような状況下、収益性の高い本県農業を確立していくには、消費者ニーズに合った品種の選定、開発などによって、ブランド化につなげていくことや、省力的で生産性の高い栽培方法の開発を進める必要があると考えます。  そこで、県では、農業における新たな品種や技術の開発をどのように進めていくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○若林和雄 副議長 渡邉和明農政部長。    (渡邉和明農政部長登壇) ◎渡邉和明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、県産農産物の生産性向上とブランド力の強化を目指し、新品種や新技術の開発に取り組んでおります。特に近年は、多様化する消費者ニーズに応えるため、食物繊維を多く含む大麦や皮ごと手軽に食べられるブドウ、花の色が変化し長期間楽しめるアジサイなど、際立つ特徴を持った品種の開発も進めているところでございます。また、国内外における県産農産物の競争力を高めるため、作業の効率化や収量の飛躍的な増大を目指し、ハウス内の環境を自動で制御する次世代型のトマト栽培や果樹の根圏制御栽培など、新技術の実証、普及に取り組んでおります。  今後は、ICTや遺伝子解析など、最先端の技術や異分野のノウハウも積極的に取り入れながら、農業の成長産業化に向け、技術の高度化に努めてまいります。 ○若林和雄 副議長 吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) この夏の記録的な日照不足を初め、近年は天候不順が続き、地球温暖化の影響が叫ばれております。今後の気候変動にも対応できる品種や技術の開発を進めていただきたいと思っております。  開発された付加価値の高いオリジナル品種や本県ならではの栽培技術で、もうかる農業者をしっかりと育成することができれば、農家の後継者や若者が農業に大きな夢を持ち、新規就農の増加につながるものと考えます。ぜひ若い人の関心が向くように、先ほどの質問でも取り上げましたドローンの活用や人工知能(AI)などの新技術の開発、導入を進めていただき、稼げる農業、魅力ある農業の実現に、また若者の就農につなげていただきたいと思っております。  次に、空き家対策について、県土整備部長にお伺いいたします。人口減少とともに、全国的に増加の一途をたどっている空き家でありますが、適切な管理がなされていない空き家は、倒壊や火災が発生したときには、近隣まで被害が及ぶことが想定されるばかりか、今後、国体、DC等で多くの人が本県を訪れることが見込まれる中、景観上の問題も懸念されるところであります。  県内における空き家数は、平成5年からの20年間で2倍超に増加しており、空き家率は16.3%と全国平均の13.5%を上回り、全国で10番目に高くなっていることから、ふえ続ける空き家対策を計画的に進める必要があります。空き家対策については、平成27年に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法において、市町村による空家等対策計画の策定、都道府県による市町村相互間の連絡調整等、必要な援助について定められ、さらに昨年3月に閣議決定された新たな住生活基本計画において、空き家数抑制に関する目標が初めて設定されました。  法に基づく計画を策定している県内自治体は、ことし3月末時点で栃木市、佐野市、鹿沼市の3市にとどまり、割合にして12%と全国平均20.5%を下回っております。計画策定の義務はないものの、策定した自治体に対しては、空き家の有効活用等に対する国からの補助制度もあり、早急な対応が求められます。一方、既に計画を策定している3市においては、それぞれ空き家対策の取り組みが進められております。県内最初に計画を策定した佐野市では、昨年度、空き家対策室を設置して空き家問題に取り組んでいるほか、栃木市、鹿沼市でも解体補助制度の紹介、利活用促進に向けた取り組みを進めていると聞いております。県は、昨年度見直した栃木県住宅マスタープランにおいて、空き家の利活用とともに、生活環境に悪影響を及ぼす不良空き家の除去を促進するとしており、空き家対策の主体となる市町の取り組みを積極的に支援する必要があると考えます。  そこで、県として空き家対策にどのように取り組むのか、県土整備部長に伺います。 ○若林和雄 副議長 江連隆信県土整備部長。    (江連隆信県土整備部長登壇) ◎江連隆信 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。少子高齢化によりまして今後ふえ続けることが予想されます空き家につきましては、利活用を促進するとともに、不良空き家の撤去等を計画的に進めることが、各市町に共通する喫緊の課題となっております。県では、これまで市町が国の補助制度を活用する際に必要となります空家等対策計画の策定が円滑に進むよう、手引の作成を行いますとともに、栃木県住生活支援協議会を活用いたしまして情報の提供や説明を行ってまいりました。また、特定空家を認定するための市町職員の養成や専門知識を有する県職員が現地で技術的助言を行うなど、多方面から市町の取り組みを支援しているところでございます。  今後、多くの市町において空き家対策が本格化いたしますことから、県は特定空家認定のための手引の作成や利活用に向けた事例情報の共有化を図るなどいたしまして、市町や関係団体とより一層連携して、空き家対策に取り組んでまいります。 ○若林和雄 副議長 吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) 空き家率がワーストワンとなった山梨県では、県が空き家対策のモデル計画をつくって、県内全市町村に示したとのことであります。本県においても、県の積極的な関与を期待したいと思います。  ここで総合政策部長に再質問します。空き家対策を効果的に進めていくには、有効活用の視点が欠かせません。とちぎ暮らし・しごと支援センターには、本県への移住を検討している方のさまざまな相談が寄せられていると聞いております。通勤のために駅の近くに住みたい、市街地から離れて静かに暮らしたい、実家の近くに戻って子育てしたい、ちょっとした家庭菜園を営みたいなど、移住・定住を考えるさまざまなニーズに応えるためには、きめ細かな情報を迅速・的確に提供することが重要であります。  そこで、移住・定住を進めるための空き家の有効活用についてどのように進めるのか、総合政策部長にお伺いします。 ○若林和雄 副議長 北村一郎総合政策部長。 ◎北村一郎 総合政策部長 再質問にお答えいたします。東京都内に設置しておりますとちぎ暮らし・しごと支援センターでございますけれども、そのうちの相談の約3割が住まいに関する内容となっておりまして、空き家につきましても、移住に資する有力な地域資源として、これを効果的に活用していくことが重要であると考えております。現在、空き家物件情報等を提供します空き家バンクというのがございますが、これは県内で17の市町が設置しております。加えまして、空き家のリフォームの支援、あるいは効果的に移住体験ができるようなお試しの家の取り組みが行われております。県といたしましては、とちぎ暮らし・しごと支援センターに寄せられました住まいに関する相談情報につきまして、速やかに市町のほうにつなぐとともに、県の移住・定住促進サイト「ベリーマッチとちぎ」にも市町の空き家物件情報を掲載し、それから都心への通勤とか、豊かな自然といった移住希望者のニーズあるいはライフスタイルに応じまして、検索できるような機能も備えておりますので、引き続き充実を図ってまいりたいと思います。  空き家の有効活用が図られまして、本県への移住・定住が進むよう、市町村の取り組みを積極的に進めてまいりたいと思います。 ○若林和雄 副議長 吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) 総合政策部長から空き家対策についての答弁をいただきました。空き家バンクやインセンティブ制度等々、たくさんの施策もお伺いいたしました。ぜひとも積極的に市町を支援していただきたいと思います。  また、ことし1月にオープンしたとちぎ結婚支援センターとのマッチングも必要かと思われます。結婚し新天地での生活に空き家を利用できるような県からの支援、行政的な支援も検討していただきたいと思っております。  この空き家については、県独自の対策、そして優遇的な面も含めて検討していただければと思っております。今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、競技力向上に向けたトップアスリートの活用について、教育長に伺います。本県開催国体において、天皇杯、皇后杯の獲得を目指して策定した栃木県競技力向上基本計画も3年間の育成期を終え、ことしから充実期に入りました。5年後に迫った本県開催国体に向けて、これまでの取り組みの成果を確実なものとし、さらなる競技力向上につなげる必要があります。しかしながら、昨年、岩手県で開催された国体では、天皇杯30位、皇后杯41位と不本意な結果に終わりました。また、関係者によると、先月、群馬県で行われた国体の関東ブロック大会においても成績は振るわず、昨年に引き続き、厳しい結果であったと聞いております。  県内にはプロスポーツチームが7チームあり、昨年はバスケットボールのリンク栃木ブレックスが日本一の栄冠を手にするなど、多くの県民に夢と感動、そして希望を与えてくれました。さらには、水泳や柔道、陸上、卓球、体操などオリンピックのメダリストを初め、世界で活躍する多くの優秀な選手を輩出しており、トップアスリートに触れる環境には恵まれております。  県教育委員会では、とちぎ未来アスリートプロジェクトなど、5年後の国体で中心となる選手の発掘に取り組んでおりますが、今後、発掘した未来の中心選手の能力を最大限発揮させるためには、トップアスリートの経験に裏打ちされた技術やメンタル、両面でのサポートが必要であります。また、県教育委員会では、各競技団体からの要請に応じ、国内トップレベルの指導者や専門家から最先端の指導を受けるアドバイザリーコーチ招へい事業を平成27年度から取り組んでおりますが、課題に応じた派遣コーチの選択肢をふやすなど、さらなる制度の拡充が望まれます。  そこで、本県開催国体における天皇杯、皇后杯の獲得を目指し、競技力向上に向けたトップアスリートの活用について、今後どのように取り組むのか、教育長にお伺いいたします。 ○若林和雄 副議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。高い技術力やすぐれた人間性を持つトップアスリートの指導を受けることは、競技者の心身両面での成長に有効と考え、現在、約60名をアドバイザリーコーチとして登録し、強化練習等に派遣しているところです。競技団体からは、最新の指導方法や試合に臨む姿勢などを学べ、競技力が向上したとの報告がありますことから、さらなる拡充を図っていきたいと考えております。  また、とちぎ未来アスリートプロジェクトの競技体験におきましては、子供たちが県内のプロスポーツチームから直接指導を受けており、競技に取り組む上での大きな励みになっております。  今後とも、より多くのトップアスリートを指導者等として活用するほか、これから活躍が期待される子供たちとの交流を積極的に進め、本県開催国体での天皇杯、皇后杯獲得に向け、競技力の向上に鋭意取り組んでまいります。 ○若林和雄 副議長 吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) ただいま教育長から頼もしい、力のこもった競技力向上に向けた答弁をいただきました。本県開催国体に向けましては、強化の段階に応じた多くのアプローチによって競技力向上につなげるよう、大いに期待しております。また、えひめ国体が9月30日から開催されます。本県選手団の活躍を大いに期待しているところであります。トップアスリートの魅力、テクニックを目の当たりにする子供たちの目の輝き、これは大きな力になります。トップアスリートの活用は競技力の向上ばかりではありません。若者のスポーツ離れが進む中、子供たちと直接触れ合い、夢を与えられるような機会がふえ、本県スポーツ界が活気に満ちることを期待しております。  スポーツは人を育てます。スポーツを通じ、心身ともに成長します。人とのかかわり、仲間の大切さ、そして何より他人を思いやる心を学ぶことができます。こうしたアスリートの活用が競技力の向上とともに、未来の栃木を担う人づくりにも大いにプラスになると期待して、次の質問に移ります。  特殊詐欺対策について、警察本部長にお伺いいたします。県内における特殊詐欺は、近年減少傾向にあり、ことし8月末時点での被害件数は、前年同期より18件少ない120件、被害額は1億2,500万円少ない2億4,800万円であります。件数、被害額とも前年を下回っておりますが、これらは県警察における特殊詐欺対策の取り組みの成果であると評価しているところであります。また、犯行の手口は近年巧妙化しており、最近は警察官やデパートの店員を名乗ってキャッシュカードをだまし取るものや、若い世代もターゲットにした電子マネーを悪用する手口など、金融機関の窓口を通さない犯行がふえているようであります。これは、県警察が実施してきた金融機関における声かけ訓練等、金融機関とタイアップして、被害発生を許さない強い姿勢で取り組んだ結果であると思っております。  今後もそうした警戒を緩めず取り組んでいただきたいと思いますが、犯行の手口がますます多様化している現在、警察や関係者だけでは限界があると思われます。例えば、無人のATMに言葉巧みに誘い出し、高齢者を標的にした犯罪がふえております。こういう場合においても地域の皆さんが一言声をかけて防止するということが必要かと思われます。  今後は、昨年4月に設置された特殊詐欺事件捜査室を中心とした検挙体制の強化に加えて、自治会、地区民生委員などの協力も得ながら、地域全体、社会全体で特殊詐欺を監視する意識を醸成するなど、これまで以上に検挙と予防の両輪で対策に取り組む必要があると考えます。  そこで、県警察では、特殊詐欺対策にどのように取り組むのか、警察本部長にお伺いいたします。 ○若林和雄 副議長 福田正信警察本部長。    (福田正信警察本部長登壇) ◎福田正信 警察本部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県における特殊詐欺の被害は減少傾向にあるものの、キャッシュカードをだまし取るオレオレ詐欺が増加するなど、依然として予断を許さない状況にあります。県警察では、被害防止対策、犯罪インフラ対策及び事件検挙を3本柱として特殊詐欺対策に取り組んでいるところであります。被害防止対策につきましては、自治会等における高齢者会合での特殊詐欺被害防止検定を活用した防犯講話を実施しているほか、民生委員等と連携した高齢者宅訪問による注意喚起を行っております。犯罪インフラ対策につきましては、通信事業者や金融機関と連携し、犯行に悪用された携帯電話の利用停止や預貯金口座の凍結措置等に加え、本年から金融機関と連携した振り込み制限、不動産関係団体と連携した犯行拠点対策を実施しております。事件検挙につきましては、刑事部捜査第二課特殊詐欺事件捜査室を中心とした徹底した取り締まりにより、都内2カ所の犯行拠点を摘発するなど、8月末現在までに59人を検挙しております。  県警察といたしましては、引き続き関係機関との連携や県民への広報啓発の徹底を図り、社会一体となった特殊詐欺撲滅に全力を尽くしてまいります。 ○若林和雄 副議長 吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) 警察本部長から特殊詐欺対策の取り組みについて答弁をいただきました。特殊詐欺の被害に遭う年齢は、高齢者、特に60歳以上の方が8割となっております。その中で女性の割合が7割を超えております。こういう統計からも、やはり高齢者に対する指導、教育、あるいは家族での話し合い等も含めて、未然防止に積極的な取り組みをしていただきたいと思っております。  また、詐欺のプロでありますから、オレオレ詐欺とか、振り込め詐欺、あるいは架空請求、また還付金等、警察官を装ったり、あるいは公的機関の職名を装ったりして、あの手この手で被害者に向かってきます。多様化、あるいは巧妙化した犯罪、これがプロの手口でありますので、一層、今後の取り締まりの強化を図っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  最後に、インターネット利用による子供の犯罪被害防止について、警察本部長に伺います。今やインターネットは誰もが使える便利なツールとなっております。携帯電話、スマートフォン、さらには携帯型のゲーム機にもインターネットに接続できる機器があり、それらを利用する子供たちがふえてきております。それに合わせてトラブルに巻き込まれる事例も散見され、インターネットのSNS等、コミュニティーサイトをきっかけにして子供たちが性的犯罪等の被害に遭うケースもあります。警察庁によると、コミュニティーサイトに起因する犯罪の被害児童数は、平成20年以降、増加傾向が続いており、昨年、全国で過去最多、1,736人となりました。  本県においても、少年の心身に有害な影響を与え、少年の福祉を害する福祉犯について、被害児童数はおおむね横ばいで推移しているものの、そのうち、インターネット利用による被害児童数は、平成25年以降、増加の一途をたどっております。インターネットの普及によって、保護者の知らないところで見ず知らずの大人と子供たちが接触することが容易になっております。顔が見えないことから、同年代を装って言葉巧みに近づき、中には自分の裸の画像を送らせ、脅迫し、性的犯罪につながる事例もあると聞いております。問題の大きさを自覚しないままとった安易な行動が将来にわたって取り返しのつかない事態に発展してしまうケースもあります。そうした子供を対象とした性的犯罪は断じて許せるものではなく、県警察には取り締まりの強化とともに、関係機関と連携した被害防止対策に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、インターネットを利用する子供の犯罪被害防止についてどのように取り組むのか、警察本部長にお伺いいたします。 ○若林和雄 副議長 福田正信警察本部長。    (福田正信警察本部長登壇) ◎福田正信 警察本部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県におけるコミュニティーサイトを悪用した児童買春等の被害は、インターネットの急速な普及から増加傾向にあり、予断を許さない状況にあります。県警察では、子供の犯罪被害防止対策として、3本柱である被害防止対策、犯罪インフラ対策及び事件検挙に取り組んでいるところであります。被害防止対策につきましては、学校と連携した非行防止教室や県を初めとする関係機関との共同によるフォーラムの開催を通じて、子供や保護者などに対し、コミュニティーサイトの危険性について広報啓発に努めております。犯罪インフラ対策につきましては、携帯電話販売店等に対し、有害なサイトへのアクセスが制限できるよう、フィルタリングの説明や推奨を要請しております。事件検挙につきましては、コミュニティーサイトに対するサイバーパトロールを実施し、被害を受ける可能性が高い子供を発見、指導するサイバー補導を強化して、被疑者の検挙につなげております。  県警察といたしましては、引き続き関係機関との連携や県民への広報啓発の徹底を図り、予防と検挙の両面から子供の犯罪被害防止に努めてまいります。 ○若林和雄 副議長 吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) ぜひこうした子供の犯罪被害防止にしっかりと取り組んでいただき、未然防止等も含めて、県民が安心して、また子供たちの将来のためにも、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  ここで、県民生活部長に再質問いたします。インターネットを利用する子供の犯罪防止を防ぐには、県警察だけではなく、県、教育委員会、関係団体との連携・協力が重要であります。インターネットは、正しく使えば有用で便利なコミュニケーションツールであります。子供たちがこれから社会で生きていく上で、インターネットに関する知識、技術は必要不可欠なものであります。その力を養うためにも、子供たちが安全に安心してインターネットを利用できる環境整備が必要であると考えますが、県としてどのように取り組むのか、県民生活部長にお伺いいたします。 ○若林和雄 副議長 和田裕二県民生活部長。 ◎和田裕二 県民生活部長 ただいまの再質問にお答えいたします。子供たちが犯罪に巻き込まれないでインターネットを利用できるためには、やはり利用環境の整備と利用についての正しい知識、技術、この習得が極めて重要でございます。このため、県では、警察はもとより、教育委員会、栃木県青少年育成県民会議などと連携いたしまして、これまで子供、そしてその保護者に対する講習会を開催する、あるいは携帯電話の販売店等に対して、フィルタリングの利用に関する立ち入り指導等も進めてきたところでございます。また、今年度は新たに栃木県青少年のためのインターネット利用環境づくり連絡協議会というのを設立いたしまして、関係機関の相互の連携強化、そして情報の共有を図りながら、県民参加型のフォーラムを開催するなどして、適正なインターネットの利用環境づくりに向けた社会機運の醸成に努めているところでございます。  今後とも、関係機関・団体等と連携を図りながら、青少年にとって安全・安心な利用環境の整備に努めてまいります。 ○若林和雄 副議長 吉羽茂議員。    (8番 吉羽 茂議員登壇) ◆8番(吉羽茂議員) ぜひ、関係者が一堂に会する連絡協議会の設立を契機として、関係機関の連携強化、情報共有が進むよう、取り組みの充実をお願いしたいと思います。今後も、本県の未来を担う子供たちの健全育成、そして未来の栃木を担う子供たちの環境づくりに努力していただきたいと思っております。  元気で明るい子供は大人がつくるのであります。行政機関、あるいは警察、教育機関だけではなく、県民全員、オール栃木体制で未来の子供たちを守っていけるような取り組みをぜひしていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  以上で本日予定していた質問は全て終了いたしました。今回は県民の皆様にわかりやすくお伝えするよう心がけて、全8項目にわたって質問させていただきました。今後も、県民生活に密着したさまざまな課題について、持ち前の情熱、行動力を持って取り組んでまいりたいと思います。私も長くスポーツをやっておりました。ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン、1人は全員のため、全員は栃木のために頑張ってまいりたいと思っております。以上で全ての質問を終了させていただきます。本日はありがとうございました。 ○若林和雄 副議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午後2時15分 休憩       ――――――――――――――――――――――――――――― ◎原山光史 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は47名であります。       ―――――――――――――――――――――――――――――     午後2時30分 開議
    ○小林幹夫 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) 今通常会議、最後の質問者となりましたが、通告に従いまして一問一答で順次質問を行いますので、執行部の誠意ある答弁をよろしくお願いいたします。  初めに、北朝鮮の弾道ミサイル発射への危機管理対応について伺います。去る8月29日及び9月15日の早朝、北朝鮮によるミサイル発射を受けて、本県全域を初めとする12道県にJアラートによる緊急情報が発せられ、国民を震撼させました。弾道ミサイルは、3,700キロメートルを飛行、北海道南部上空を通過し、太平洋沖に落下しましたが、国民の生命と国土の安全を脅かす卑劣きわまりない挑発行為であり、我が国のみならず、北東アジアの国際平和に悪影響を及ぼす愚行であり、断じて許されるものではありません。県議会としても、本通常会議の初日、今月20日に、今回の北朝鮮の危険行為に断固抗議する旨の決議を全会一致で採択したところであります。  国においては、国民の生命の安全確保を第一に考え、この国際問題に迅速かつ適切に対応されるよう望むのは、県民の願いであり、また国民の願いであり、知事には、全国知事会等を通じて国に対してこれまで以上に強く要請してもらいたいと考えます。  今回のJアラートの発信を受け、県では、直ちに危機管理課及び消防防災課の全職員の登庁による注意体制を整え、県内市町・消防本部と連携して、被害、落下物等の情報収集に当たるとともに、情報収集結果を防災メールやホームページを使って広報し、県民の不安の早期解消に努めるなど、迅速な対応を行ったと聞いていますが、とはいえ、今回のJアラートの発信に対して、なすすべもなく、ただ無事を祈るしかなかった県民も多く、無力感を感じた人は少なくないと思います。  国、県及び市町がこうした有事に対して、それぞれの役割を着実にこなしていくことは大変重要なことでありますが、県民の生命及び安全の確保に万全を期すためには、県としてもこれまで以上に市町の備え・予防の取り組みを支援するとともに、Jアラートに対する行動パターンの提示など、県民への啓発広報の充実にわかりやすく、積極的に取り組む必要があると考えます。  そこで、改めて、今回の北朝鮮によるたび重なる危険行為に対する見解と、ミサイル発射等の緊急事態に対する危機管理対応についての考えを知事に伺います。 ○小林幹夫 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの金子議員のご質問にお答えいたします。北朝鮮は、一連の国連安保理決議に違反する暴挙を繰り返しており、中でも、先月29日及び今月15日の弾道ミサイル発射は、日本国土への着弾、落下のおそれがあるなど、国民にとっての危機が現実のものとなっております。このことは、県民生活における極めて深刻かつ重大な脅威であり、断じて容認できない行為であると考えております。また、全国知事会としても、弾道ミサイルが発射された先月29日及び今月15日当日に、北朝鮮に対し厳重に抗議したところであります。  次に、県の危機管理への対応についてでありますが、弾道ミサイル発射などの緊急事態に際しましては、県民に対し、正確な情報を迅速に伝達し、冷静に避難等の行動がとれるよう促すことが極めて重要であります。そのため、県は、今般のJアラートによる緊急情報発信という事態を受け、迅速かつ確実な情報伝達がなされるよう、改めて市町に機器の動作確認や伝達訓練の実施を要請するとともに、弾道ミサイルを想定した避難行動訓練についても積極的に実施するよう依頼いたしました。また、弾道ミサイル発射時にとるべき行動について、市町とも連携し、ホームページや広報紙等に掲載するほか、テレビ等を活用し、県民への周知を強化したところであります。  今後とも、国や市町、関係機関と連携を密にしながら、県民の安全を第一に、積極的な対応が図れるよう、万全を期してまいります。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) 知事から答弁をいただきましたが、知事の発言にありました危機が現実のものとなった。また、県民の皆さんには冷静に判断してもらいたい。そして、機器の動作や伝達訓練、また、とちぎテレビだと思いますが、その放送をしているということは私も承知しております。  それでは、再質問させていただきますが、県庁舎などの公共施設を避難施設として開放するなど、柔軟な対応が今後は求められていくと思います。各地域内における避難場所を再確認し、住民に周知していく必要があると考えますが、そのために市町への助言等を行う考えはあるのか、県民生活部長に伺います。  また、内閣府の国民保護ポータルサイトに掲載されている弾道ミサイル落下時の行動については、2枚のペーパーにまとめられているだけで、これだけでは県民の不安は払拭されないと感じています。県民にわかりやすい行動パターンを提示し、不安を解消させる必要があ ると思いますが、あわせて県民生活部長に考えを伺います。 ○小林幹夫 議長 和田裕二県民生活部長。 ◎和田裕二 県民生活部長 ただいまの再質問にお答えいたします。まず、弾道ミサイル発射時の対応についての市町への助言ということでございますけれども、ミサイルが飛来するまでの時間は非常に短いということで、個人個人の置かれている状況というのがさまざまでございますので、その状況に応じて、屋外にいる方については建物あるいは地下に避難すること、建物が近くにない場合は、身を伏せて頭部を守るということなどが推奨されているわけでありまして、まずは市町と連携いたしまして、その周知徹底を図ってまいりたいと考えております。また、県庁舎等の公共施設につきましては、施設の放送機能を活用いたしまして呼びかけを行うなど、県民の避難行動につながる対応について検討しているところでございます。市町に対しましては、今回の事態を受けて、住民への広報の充実、あるいはとるべき行動の理解の促進につきまして通知しているところでありますけれども、今後とも、県民の避難行動が確実にとれるように、市町への助言等も含めまして、連携して推進してまいりたいと考えております。  もう一点、県民へのわかりやすい行動パターンの掲示ということでございますけれども、県におきましては、従来から県のホームページにミサイル発射時の行動につきまして掲載して、周知を図ってきたところでございますが、今般の事態を受けまして、9月からテレビ、ラジオ等を活用いたしまして周知を行いますほか、政府広報の動画についても県のホームページから直接アクセスできるような改善を行ったところでございます。また、市町に対しましても、ホームページ、あるいは広報紙等を活用して周知を行うなど、さまざまな手段による行動パターンの周知を依頼したところでございます。  今後とも、より県民に伝わりやすいよう工夫を重ねながら、市町とともに連携して県民への周知の徹底に努めてまいりたいと考えております。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) 県民生活部長から答弁をいただきましたが、通常の火災や地震等では、屋内にいる方々が屋外に出る、これは訓練などで私たちもやっているわけですが、今回のミサイル発射は、屋外から屋内に避難する。また、建物等がないところは伏せて避難するという形をとると、今までの小学校や中学校の防災訓練や火災訓練、そういうものとは逆のパターンになっていきますので、やはり体で覚えていく必要もあると思いますので、そのような対応も市町を通じてお願いしたいと思っております。  また、内閣官房の国民保護ポータルサイトには、これは県もそうなんですけれども、子供向けの対応というのが残念ながらないんですね。やはりその点にも力を入れていくことを要望しまして、次の質問に移らせていただきます。  次に、国民健康保険の都道府県移管への対応について伺います。平成30年4月から国民健康保険が新制度に移行され、都道府県が市町村とともに共同保険者となります。これにより、県が財政運営の責任主体となり、所得や人数等に応じて傾斜配分した給付金を各市町から徴収し、保険給付に必要な額を全額市町に交付する納付金制度が導入されるわけであります。  去る8月30日の栃木県国民健康保険運営協議会において、各市町の納付金の試算結果が提示されたわけでありますが、国において赤字解消のために3,400億円の公費を投入することによって、各市町においての納付金額は、大きな負担増となるおそれは回避されたと見ています。各市町は、今回の納付金額に加え、今後、県から示される標準保険料を踏まえ、被保険者から徴収する保険料を算出することになりますが、被保険者の保険料についても大きな負担増とはならない可能性が高いと推測されます。  福田知事においては、国民健康保険の新制度移行に関して、全国知事会の社会保障常任委員会の委員長として、国との協議に臨み、公費拡充による国保の財政基盤の強化に尽力されたことについては、県議会としても最大限の敬意を表するものであります。県に財政運営が一元化される以上、被保険者はもとより、県にとっても、市町にとってもよりよい制度にならなければなりません。今回の制度改正に当たって国から3,400億円の公費が投入されますが、今後の人口減少に伴う被保険者の減少による保険料の減収、被保険者の高齢化や医療技術の進歩に伴う医療費の増加、国の公費投入がいつまで続くか不透明であるなど、国民健康保険を取り巻く環境は大変厳しい状況にあることは変わりありません。  こうした環境に適切に対応し、国民皆保険のセーフティーネットと言われる国保制度を今後とも持続可能な制度として的確に運営していくためには、国保の財政運営の責任主体として、市町村や医療関係者との連携・協力のもと、健康の増進や医療費適正化に向けた取り組み等を進め、国保財政の安定化や運営の効率化を推進していくことが重要であると考えています。  そこで、今後の国民健康保険の運営のあり方についての所見と持続可能な制度としていくための取り組み方針を知事に伺います。 ○小林幹夫 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。私は、国民健康保険制度始まって以来の大改革に臨み、全国知事会社会保障常任委員長として、各都道府県と情報共有を図り、さまざまな意見を丁寧に集約しながら、国や市長会、町村会と長きにわたり議論を重ねてまいりました。新制度におきましては、都道府県が国保の共同保険者として財政運営の責任主体となり、国保運営の中心的な役割を担うこととなりますが、国保は高齢者の割合が高く、また所得水準が低いなどの構造的問題を抱えており、さらに医療の高度化等によりまして医療費は増加傾向にあります。このような中、国保の運営に当たりましては、制度の安定化に向け、医療費の適正化を推進するとともに、収納率の向上や国の財政支援等により、財政基盤を確立することが大変重要であると考えております。  平成30年度、来年度からですが、県も保険者となりますことから、医療費適正化に向け、被保険者のレセプトデータ等を活用して地域の健康課題を分析し、その結果を市町や県の健康づくりや疾病の重症化予防などの施策に生かしてまいりたいと考えております。あわせて、国の交付金や県の調整交付金の一部を活用した県独自の保険者努力支援制度を創設し、医療費適正化や積極的な収納対策に取り組む市町に対してインセンティブを付与し、市町の取り組みを促進していきたいと考えております。  また、3,400億円の財政支援の拡充にとどまらず、今後の医療費の増大を考慮したさらなる財政基盤の強化にしっかり取り組むという、全国知事会など地方3団体と厚生労働大臣との合意を確実に履行するよう、国に対してこれからも強く求めてまいります。  今後とも、県民の皆様が安心して医療が受けられるよう、市町と十分に連携を図りながら、国保制度の適切な運営の確保に努めてまいります。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) 知事から答弁をいただいたところでありますが、知事も全国知事会等を通じて、情報の共有、そして市町村との協議ということで、これはきのう、きょうではできるものではないと思います。かなりの信頼関係の上に協議があって、恐らく中ではけんけんがくがくの問題点の解決を目指したものだと思っております。構造的な問題ということはどなたも承知しているところであると思いますが、その中で、収納率の向上については、実際に口座振替とか一括納付、ペイジー、コンビニでの振り込み等、住民のライフスタイルに合わせた納付方法がまだまだ確立されていないと思っております。そのような取り組みを行っていただければと思っております。例えば国保税のコンビニ振り込みですけれども、コンビニに行くと、限度額が30万円までは扱うんです。ですから、それ以上は8期だの7期あるのを一つ一つ振り込みを行わなければいけないことがあります。保険者から見て、市民のサービスにもつながると思いますので、お願いしたいと思います。  また、レセプトというお話もありましたが、医療費の抑制については、糖尿病などの生活習慣病への取り組み、そしてもう一つは、これも前々からお話が出ていますが、重複、また頻回受診についての対応、それと後発医薬品でありますジェネリック医薬品の使用等も含めて、医療費の抑制というものに努めていっていただければと思っておりますので、その取り組みをよろしくお願いします。まだまだ国保税については、これから市町村との取り組みの中で変えなければいけないところもあると思います。しかし、市町村が地域の住民の方と向き合っているわけでありますから、そこがうまく作動するような取り組みを期待し、次の質問に移らせていただきます。  次は、東京オリンピックパラリンピックにおける事前トレーニングキャンプについて伺います。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、世界から大きな注目を集めるスポーツ、文化の祭典であり、本県にとってもスポーツの振興や観光の誘客、魅力の発信など、多くの分野でさまざまな効果が期待されています。これらを踏まえ、県ではハンガリーの選手団の事前トレーニングキャンプを誘致するとして、昨年6月に同国のホストタウンとして国の登録を受けるとともに、11月にはハンガリーオリンピック委員会の幹部の県内の視察を受け入れるなど、誘致活動を積極的に進めてきました。また、県内では過日、君島那須塩原市長がオーストリアを訪問し、トライアスロンに照準を定め、オリンピック委員会と事前キャンプの協定調印式に臨んだとの報道もありました。  本県では、来月6日、7日に予定されているハンガリーオリンピック委員会のクルチャール会長の来県に合わせて、本県での事前キャンプの実施に係る覚書が締結できる見通しとなり、これによって東京2020大会成功への貢献はもとより、地域の活性化やハンガリーとの交流等が具体的に進んでいくものと考えています。  そこで、今回合意しようとしている覚書の内容や競技種目、利用施設など事前キャンプに向けた今後の取り組みの見通しについて、知事に伺います。  また、ハンガリーの人口は1,000万人弱にもかかわらず、過去のオリンピックにおいて、日本と同程度の多くのメダルを獲得しているほか、ことしの夏には首都ブダペストで世界水泳選手権や世界柔道選手権大会を開催するなど、非常にスポーツの盛んな国でありますが、ハンガリーに対する県民の関心や理解は十分とは言えないため、迎えるためには今後の取り組みが重要であると考えます。  そこで、ハンガリーに対する県民の理解促進をどのように図り、おもてなしの気持ちをどのように醸成していくのか、あわせて知事の考えを伺います。 ○小林幹夫 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、ハンガリー選手団の事前キャンプの実現に向け、日本オリンピック委員会、いわゆるJOCや駐日ハンガリー大使館等のご支援をいただきながら、ハンガリーオリンピック委員会、いわゆるHOCの幹部による県内視察やHOCへの職員派遣など、積極的に取り組んでまいりました。このたび、HOCのクルチャール・クリスチャン会長ほか3名の幹部が、東京2020競技大会における競技施設の視察等を目的とする来日に合わせて来県されることとなり、県内の競技施設の視察を行うとともに、10月6日には、HOC、JOC及び栃木県の間で覚書を締結することとなりました。  この覚書は、東京大会に係る県内での事前キャンプにおける競技施設等のあっせんと相互交流の推進に関し、HOC、JOC及び栃木県のそれぞれの協力等について同意するものであります。覚書の締結により、本県での事前キャンプが実現することとなり、今後は、つながりのある陸上競技を初め、できるだけ多くの競技種目の事前キャンプが実現するよう、ハンガリー側との協議を進めるとともに、受け入れに向けて施設を管理する県内の各市町、競技団体等とも緊密な連携を図ってまいります。  事前キャンプでの選手へのサポートを通じ、本県が東京大会の成功に貢献できることに加え、県民がトップアスリートを間近にし、交流する機会を設けることで、子供たちに感動と希望を与えることも大いに期待できるところでございます。  また、ハンガリーのホストタウンとして、駐日ハンガリー大使館や関係団体等の協力を得ながら、ハンガリーの食や文化、歴史や風土を紹介するイベントやシンポジウム等を開催するなど、県民の理解促進を図り、おもてなしの機運を醸成してまいります。覚書の締結を機に、市町や関係団体等の協力も得ながら、事前キャンプの実現に向け、積極的に取り組んでまいります。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) 知事から答弁をいただきましたが、知事の答弁を聞いていると、今後、ハンガリーとの取り組みというのは、希望、また感動という言葉がありましたが、何かわくわくしてくるものを感じる県民も多くなってくると思っております。市町村と連携を図りながら、そして、食文化や歴史、シンポジウムを行うというお話もありましたが、積極的に取り組んでいただくことを期待して、ここで再質問させていただきます。東京オリンピックパラリンピックにおける県内の機運を盛り上げる上で、今、知事から答弁がありましたが、実際にトレーニングキャンプを行う競技種目や利用施設、先ほども市町村との連携という話がありましたが、新聞報道では、県有施設ばかりではなく、鹿沼市の総合体育館も報道されていましたが、地域の盛り上がり、おもてなしを考えれば、できるだけ早く決定されることを期待いたします。  競技団体との交渉はこれから本格化されることだと思いますが、それでは、個別の競技団体との交渉をどのように行ってきたのか。これまでの取り組み経過を総合政策部長にお伺いします。 ○小林幹夫 議長 北村一郎総合政策部長。 ◎北村一郎 総合政策部長 再質問にお答えいたします。ことしの春以降の動きでございますけれども、まず北京の世界陸上の際に事前キャンプを実施いたしました陸上競技関係者から打診がございました。また、空手とウエートリフティングの競技団体が日本を訪れる機会がございましたので、その機会を捉えまして、本県の状況等をご説明したところでございます。好感触でございましたけれども、現時点におきまして、いずれの競技につきましても、キャンプを実施するという確約はいただいておりません。ハンガリーは、リオ大会には、18の競技、21の種別になりますが、150名の選手団を送り込んだわけでございますけれども、やはり事前のトレーニングキャンプを行わないケースとか、本県での受け入れが難しい競技もございますので、全ての競技というわけにはいかないと思いますが、先ほどの3つの競技はもちろん、より多くの競技で本県での事前キャンプが実現できますよう、HOC、また競技団体に働きかけてまいりたいと考えております。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) 総合政策部長から答弁をいただきましたけれども、栃木県と覚書が締結されて、初めてハンガリー国全体との事前キャンプが具体的に進められる、このような動きになっていくわけであります。大会まで3年を切りました。残り期間もそう長くなくなってきましたが、できるだけ多くの種目を事前キャンプの決定につなげてほしいと思います。そのためには、福田知事みずからトップセールスとしてハンガリーに出向き、多くの競技団体関係者と出会い、栃木県で事前キャンプを行えるようアピール、おもてなしのプレゼンテーションが必要になってくると思います。つまりハンガリーに行って、おもてなしのプレゼンテーションをし、そのことによって栃木県の魅力をハンガリー国内で発信することというのが大きな鍵になってきて、そのことによって事前キャンプの中身も大きく変わっていくものと思っておりますので、できるだけ早い時期に実現できるよう要望し、次の質問に移ります。  次に、本県へのUIJターンの促進について伺います。先発の議員も質問があったところでありますが、よろしくお願いします。人口減少問題を克服し、活力ある地域社会を維持していくためには、栃木県への新しい人の流れをつくり、本県人口の社会増につなげていくことが重要であり、そのためには、本県へのUIJターンをより一層推進していく必要があります。県においては、有楽町駅前の交通会館内にとちぎ暮らし・しごと支援センターを設置し、移住と仕事のワンストップ相談や移住セミナーの開設など、積極的にUIJターンの促進に取り組んでおり、認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが発表した平成28年移住希望地ランキングにおいて、栃木県が12位にランクインしたと聞いています。県内市町においても、移住専門窓口の設置や移住体験ツアーの開催、シティプロモーションの実施など、国の地方創生交付金も活用し、さまざまな取り組みを開始しており、こうした県や市町の取り組みの結果、本県への移住相談件数も着実な伸びを見せていますが、一方、成果の乏しい市町村もあります。  また、本県人口の社会増減は、平成26年に転出超過が2,000人であったものが、平成28年には5,259人となり、若い世代の東京圏への転出超過には依然として歯どめのかからない状況にあります。22日の五十嵐清議員の人口減少対策の課題と今後の取り組みに係る代表質問で、知事は若者に焦点を当てたUIJターンの促進、東京圏の若い女性の本県への定着促進に取り組むとの答弁もあったところであります。こうした状況を踏まえると、本県のUIJターンの促進の取り組みはいまだ道半ばであり、県としても今後、さらに取り組みを充実させていくべきであると考えます。また、市町の取り組みにも温度差があり、取り組みのおくれている市町村の底上げもしていかなければならないと思っております。地方創生の取り組みが全国各地で本格化する中で、UIJターンの促進の取り組みは地域間競争の様相を呈しており、今が頑張りどきであると考えます。  そこで、今後、市町はもとより、民間企業等とも連携し、本県へのUIJターンを促進していく必要があると考えますが、今後の取り組みを総合政策部長に伺います。 ○小林幹夫 議長 北村一郎総合政策部長。    (北村一郎総合政策部長登壇) ◎北村一郎 総合政策部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県へのUIJターンを促進するため、市町と連携いたしまして、都内に設置しておりますとちぎ暮らし・しごと支援センターにおける移住、就職の相談や移住セミナーの開催のほか、専用サイトにおける移住情報の発信等に積極的に取り組んでいるところでございます。また、市町や民間企業及び庁内の関係各課等で構成しておりますとちぎUIJターン促進協議会におきまして、先進事例の紹介や関連情報の共有等によりまして、市町の取り組みを促進しているところでもございます。さらに、先般、UIJターン促進に資する取り組みを行う企業等をとちぎUIJターン応援団として登録いたしまして、その活用を図る制度を創設いたしまして、官民連携によりさまざまな移住ニーズに対応していくこととしております。  今後、さらに市町や民間企業等との連携を深め、受け入れ体制の充実を図りながら、本県への移住・定住を促進してまいります。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) 総合政策部長から答弁がありましたが、とちぎ暮らし・しごと支援センターを用いて、そしてサイトを用いて発信する。もう一つは、民間のとちぎUIJターン応援団を登録してと今答弁がありました。  ここで再質問しますが、これは本県の特徴なんですけれども、東京圏との隣接性や公共交通網の充実、そして豊かな自然環境に加え、平成26年度の1人当たりの県民所得は、ご案内のとおり、今4位であります。また、都道府県別幸福度ランキング2016では、サラリーマンの世帯の可処分所得、いわゆる手取り額でありますけれども、富山県に次いで2位となるなど、多くの強みを持っております。UIJターンの促進は、地域間競争の様相を呈しておりますので、他地域ではなくて本県、つまり栃木県を選んでもらうには、やはり本県の強みを生かした取り組みが不可欠であると思います。そんなことを考えれば、県はどのように取り組むのか、総合政策部長に伺います。  また、もちろん地域の受け入れ体制づくりの主体は市町でありますので、県内の市町が成功体験を重ねることが本県へのUIJターンの増加につながると考えております。この点は一致した見解ではないかと思っております。そのために県がどのように市町を支援していくのか、あわせて総合政策部長に伺います。 ○小林幹夫 議長 北村一郎総合政策部長。 ◎北村一郎 総合政策部長 再質問にお答えいたします。まずは1点目でございますけれども、移住・定住先として本県を選んでもらうためには、当然本県の強み、優位性をやっぱり積極的にPRしていく必要がございますので、議員にご指摘いただいたような事項、特に本県は東京圏に非常に近接しておりますので、大きな強みかなと感じております。とちぎ暮らし・しごと支援センターにおきます相談者の内容でございますけれども、IJターンの希望者が8割弱を占めるということでございまして、栃木県に興味はあるけれども、栃木県の具体的なところはよくわかっていない方も多いのではないかということでございますので、そうした方に栃木県の強み、また近接性等々、立地環境を丁寧に説明して、その人たちの具体的な行動につなげていく必要があるのではないかと思っています。  県といたしましても、鉄道沿線の市町と連携しながら、例えば東京通勤とか、あるいは二拠点生活、そういったものをテーマにしたセミナーを開催いたしましたり、実際に本県においでいただいて、地域の魅力を感じていただくような週末インターンシップ事業もございますので、こういった事業を通じまして本県の魅力を積極的にPRしてまいりたいと思っています。  もう一つ、市町村の受け入れ体制の整備の関係でございますけれども、先日開催いたしましたとちぎUIJターン促進協議会におきましても、2017年版住みたい田舎ベストランキングの2部門で全国1位をとりました栃木市の担当の方から、若者とか、若い世代への支援の具体的な取り組みにつきまして紹介いただきました。また、市町の取り組み状況を全部の市町で共有するようなこともやっておりますので、意見交換の場もつくりまして情報交換しているところでございます。  本県への移住を考えている方々が着実に本県の移住につながりますように、市町と連携して取り組んでまいりたいと考えております。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) 総合政策部長から答弁をいただきましたけれども、IJターンが8割であるということ、今ちょっと答弁がありました。ここで要望いたしますけれども、UIJターンのほかに、今注目を集めつつあるのが孫ターンの取り組みであります。聞きなれないかもしれませんけれども、都市部で子育てをしている世代の20代から30代、中には40代の方もいると思いますが、自分たちの祖父母がいる地方に移住する孫ターンであります。これは、夏休みや冬休みに親と一緒に行った、遊んだ懐かしい田舎、全く知らない土地ではなく、地縁地域での取り組みは、受け入れやすい環境や歓迎ムードが非常に高いと言われております。今後、孫ターンの取り組みを拡大し、対応していくことが求められていきますので、これも強みとなります。多くの強みを生かして、次の一手につながる孫ターンの取り組みを要望しまして、次の質問に移ります。  次に、中小企業・小規模企業の振興について伺います。人口減少及び少子高齢化に伴う内需の縮小や経済活動の進展等に伴う急激な環境の変化により、中小企業は厳しい経営環境に置かれ、従業員を初めとする経営資源の確保が困難な小規模企業は特に厳しい状況にあります。このような中、国の中小企業基本法及び小規模企業振興基本法の施行を踏まえ、県は、県内の中小企業・小規模企業が本県経済の成長を支える役割を果たし、地域の雇用を支えるなど、地域社会の担い手として重要な役割を果たしてきたことを考慮し、中小企業・小規模企業の振興を図り、経済の健全な発展と県民生活の向上に寄与することを目的として、平成27年に栃木県中小企業・小規模企業の振興に関する条例を制定、施行しました。県では、さらに、条例の制定を受け、昨年の4月に産業労働観光部経営支援課内に中小・小規模企業支援室を設置し、支援体制を強化するとともに、翌5月には、国、県、市町の行政機関や商工団体、金融機関や士業団体等で構成するとちぎ地域企業応援ネットワークを構築し、オール栃木体制で各種課題に即応する体制を整備したところであります。  今後、中小企業・小規模企業の振興の取り組みを実効あるものにするためには、何よりも各市町が地域の実情に応じて地元中小企業や商工団体と連携・協力し、各種施策に主体的に取り組むことが必要不可欠であります。それにはまず、各市町が関係者の役割分担、取り組むべき施策等を明らかにした中小企業・小規模企業振興条例を制定することが必要であると考えますが、現時点では条例の制定は7市1町にとどまっています。今後、オール栃木体制で取り組みを推進するためには、全市町における条例の制定を促進すべきであり、条例制定に対する機運の醸成はもとより、各市町の実情に応じた技術的な支援が必要となってきます。  あわせて、応援ネットワークによる創業支援や事業承継支援などの事業についても、その成果等を十分に検証しつつ、社会情勢の変化に適切に対応しながら進めていく必要があると考えています。  そこで、県では、中小企業・小規模企業の振興に向けて、市町の条例制定に対する支援や、応援ネットワークを最大限に活用したさらなる事業展開に取り組んでいくのか、産業労働観光部長に伺います。 ○小林幹夫 議長 香川眞史産業労働観光部長。    (香川眞史産業労働観光部長登壇) ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、とちぎ地域企業応援ネットワークによりまして、県条例の趣旨等の周知を行うとともに、ネットワーク構成員間の連携強化を図り、企業の創業から成長、事業承継まで、各段階における課題に対応した切れ目のない支援に努めてまいりました。この間、市町においても条例制定の機運が高まり、今年度末には13の市町で制定済みとなる見込みであるとともに、全ての市町における創業支援事業計画の策定や金融機関、商工団体からの事業承継案件の増加など一定の成果があらわれております。今後は、こうしたこれまでの取り組みや成果を検証しつつ、より多くの市町での条例制定に向け、情報提供や必要に応じた技術的助言を行うとともに、空き店舗を活用しました創業支援や事業承継診断によるさらなる案件の掘り起こしなど、喫緊の課題に重点的に取り組み、中小企業・小規模企業の一層の振興を図ってまいります。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) 切れ目のない支援と、また県の条例がありますので、それをもとに市町の条例の制定に向けてということで、今年度内に13の市町で制定という話がありましたが、今、市のほうが条例の制定に向けて進んでおり、町のほうが若干、後発で動いているのかと思っています。言いかえると、町のほうが商工会との連携ができているという見方もできるのですね。商工会との連携ができているならば、町における条例を制定することによって加速していくということが大きく求められていますので、この点については今後も注視していきますので、よろしくお願いします。  ここで再質問しますが、中小企業庁の調査によりますと、商工会議所や商工会の経営指導員から見た小規模事業者の経営課題の上位は、販路拡大が1位で、事業継承が2位、そして事業計画策定や見直しが3位となっております。今までは小規模事業者においては余り注視されていませんでしたが、その中で、小規模事業者の従業員の人材育成、スキルアップやOJTといったところは今後ますます重要性が増してくると思います。しかしながら、経営者は日々の経営に追われ、人材育成ができない、また教える人材がいない、わかっていても取り組めない状況があるなど、切実な課題を小規模事業者から伺ったことがあります。  このようなことを考えると、本県での状況についても十分に把握し、人材の育成を施策に反映させるべきであると考えますが、県の対応について産業労働観光部長に伺います。 ○小林幹夫 議長 香川眞史産業労働観光部長。 ◎香川眞史 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。人材育成につきましては、県の条例の理念に基づきまして、経営リーダー育成塾、あるいは管理者養成講座、若手社員向けの基礎研修など、幅広く実施しておりますが、ご指摘のとおり、小規模事業者にとっては、あしたの研修よりきょうの仕事でございます。そういう現状にありますので、何よりも地域に密着した商工会議所、商工会を中心とした団体が、きめ細かな、その企業に合ったような形で研修等に参加できて、人材を育成できるかというのが重要でございますので、地域企業応援ネットワークと協調しながら、連携によりしっかり人材の育成について頑張っていきたいと考えております。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) ここで要望いたしますが、企業規模が小さくなれば小さくなるほど人材育成に消極的なんですね。これはデータを見てもそのような結果が出ております。そもそも人材育成について自社の課題として捉えておらず、そういう経営者が多いということです。また、経営資源が乏しい小規模事業者にとっては、人材は貴重な財産であり、事業を継続していく上で根幹にかかわるというまず認識を持っていただかなければいけないと思っております。そうなりますと、条例の制定や商工会議所、商工会との連携というものと、自治体による施策というものをマッチングした取り組みが求められていると思いますので、適切な対応を積極的に行ってもらうことを要望しまして、次の質問に移ります。  次に、キャリア教育の取り組みについて伺います。現在、国において仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスを目指した働き方改革が進められようとしています。こうした中、学校教育において、学生や生徒に望ましい職業観、勤労観や職業に関する知識や技術を身につけさせるワークキャリアとともに、自己を理解し、主体的に自分の進路を選択する能力を育成するライフキャリア、いわゆるキャリア教育が大変重要な位置づけとなってきています。
     キャリア教育においては、企業等におけるインターンシップの活用が取り組みの一つとなっており、企業側にとっても人材確保の面から大変有効なものであると認識しています。昨日の中島宏議員の若者の県内定着促進による県内産業人材の確保についての質問で、知事からは、学生に選ばれる企業となっていくために、インターンシップを活用し、地元産業界の人材確保に努めていくとの答弁がありました。全国有数のものづくり県である本県としては、産業人材の確保の視点からも、企業の現場を肌で感じてもらい、就業先として選んでもらう機会を高め、確保することは大変重要なことであり、インターンシップ制度を積極的に活用することが必要不可欠であると考えます。  しかしながら、民間調査の都道府県幸福度ランキング2016によりますと、平成24年度の本県の公立高校におけるインターンシップの実施率は59.2%で、47都道府県の中で、残念ながら最下位でありました。国の平成27年度の調査結果においても、県立高校における実施校の割合が80.6%で全国32位、実施人数の割合については、職業系専門学科が100%と最高の割合であったものの、普通科や総合学科等は18.9%と全国平均の20.1%を下回っている状況にあります。  このことは、大学進学者の多い普通科高校での実施割合が低いと考えられますが、インターンシップは、ライフキャリアの習得という視点もあり、主体的に進路を選択する上で大変有意義であり、大学や大学院の修了後に栃木県で就労してもらうことも念頭に考え、関係部局と連携し、普通学科向けにインターンシップの拡充を図り、本県の特徴的な取り組みとして捉えていく必要もあると考えます。  そこで、本県におけるキャリア教育の取り組みに対する考え方と今後の取り組みを教育長に伺います。 ○小林幹夫 議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。キャリア教育とは、生徒が日々の生活の中で、自分の役割を果たしながら、さまざまな体験を積み重ね、自分らしい生き方を実現するための力を育む教育と捉えております。したがいまして、各教科や学校行事などの指導をする上で、学ぶことと自己の将来のつながりを意識させるなど、教育活動全体を通して取り組むことが重要であると考えております。その一環として行われるインターンシップは、就職を控えた生徒だけでなく、進学を希望する生徒にとりましても、学校の外に出て、地域や社会の課題に気づかせ、自分と社会とのかかわりを深く考えさせる貴重な機会であると考えております。  今後とも、本県の高校生が社会的、職業的に自立し、柔軟に、かつたくましく生きていけるよう、キャリア教育の充実を図ってまいります。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) 学ぶこと、そして自己意識を持つことの必要性がキャリア教育だということでありましたけれども、実はとちぎインターンシップガイダンスというのを昨年から行っておりまして、定員があるんですけれども、それに参加しているのは、昨年が100名定員で25名、そしてことしが50名定員で24名という結果でありました。まだまだこのとちぎインターンシップガイダンスの取り組みをしていかなければならないと思っているのですが、この取り組みを進めるには、首都圏の締結校が102校ありますので、そことの連携をいかに図っていくかということを進めていかなければならないと思っております。  ここで再質問させていただきますが、その中でも特に私が注目したいのは、インターンシップの受け入れ拡充が必要と感じているのは同じ認識だと思うのですが、インターンシップを受け入れる中で、普通科のインターンシップの取り組みを推進するために、県内の企業の例えば研究機関などの受け入れ体制の拡充を行ったり、専門性の高いインターンシップを行うことを本県の特長としてはどうかと考えていますが、教育長の見解を伺います。 ○小林幹夫 議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。大学進学希望者が多い普通科等の高等学校におきましては、議員ご指摘のとおり、大学の向こう側にある社会、これを実感できる多種多様な受け入れ先を研究する必要があると考えております。  今後とも、インターンシップを推進するとともに、体験的な活動をより一層充実できるよう、各学校の取り組みを支援してまいりたいと考えております。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) ここで要望とさせていただきますけれども、県行政機関において、出先機関では高校生や大学生のインターンシップの受け入れを行っているんですね。でも、残念ながら本庁では高校生のインターンシップの受け入れを行っていないのです。優秀な人材の確保の視点からも受け入れることが必要であると考えます。県庁におけるインターンシップの受け入れを積極的に行うことを要望いたしまして、次の質問に移ります。  次に、スポーツ医・科学支援体制の整備について伺います。本県では、2020年の東京オリンピックパラリンピックを初め、2022年の栃木国体開催を控え、本県アスリートの競技力向上が喫緊の課題となっています。県では、とちぎ元気発信プランにおいて、国体等を見据えた競技力の向上を重点的な取り組みとして掲げ、本年4月には、教育委員会事務局スポーツ振興課内に専門部署である競技力向上対策室を設置し、取り組みを本格化させました。  私は、昨年の10月、県議会の海外行政調査団に参画し、アメリカを訪問し、その際、アメリカに3カ所あるナショナルトレーニングセンターのうち、チューラビスタ・オリンピックトレーニングセンターを視察し、整備・運営状況等、競技力の向上を調査しました。敷地内には、主にラグビーやアーチェリー、BMX――自転車競技ですが、ボートなどのトレーニング施設が整備されており、その中にはスポーツ医・科学サポートの施設が整備され、選手のトレーニングをボディケア、メンタル、栄養学等の分野からサポートする体制が整えられているほか、コーチなど指導者養成にも力を入れておりました。アスリートの競技力向上は、こうした支援体制が不可欠であることを改めて実感したところであります。  現在、県では、県体育協会と連携し、本県開催の国体に向けてアスリートの養成、強化に取り組んでいますが、世界に通用するすぐれたアスリートを養成するためには、現在の個別指導に加え、医・科学的なサポートやそれに基づく効果的なトレーニング環境を、種目や各選手に合わせて継続的に提供できる総合的な拠点施設の整備が急務であると考えております。  昨年12月の通常会議でも池田忠議員の海外行政調査を踏まえた一般質問において、教育長より、関係機関と連携し、拠点施設の役割や機能も含め、スポーツ医・科学支援体制のあり方について検討していくとの答弁がありましたが、その後1年近くが経過し、一日も早くスポーツ医・科学サポート拠点施設の整備に見通しをつける必要があると痛感しています。  そこで、スポーツ医・科学支援体制の整備に向けた検討状況と今後の取り組みの予定を教育長に伺います。 ○小林幹夫 議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。現代のスポーツにおける競技力向上には、医・科学的な視点が不可欠であり、本県におきましても、競技団体や学校などへ専門家を派遣して支援を行っているところであります。今後、さらに効果的な支援を行うためには、同じ場所、同じ機器での測定による正確なデータの収集や、専門家間でのデータ共有と連携の推進が重要であり、そのための拠点施設など、支援体制の整備充実を図る必要があると考えております。  現在、庁内ワーキンググループにおきまして、スポーツドクターなどの専門家の意見も踏まえながら、医・科学支援のための支援体制のあり方につきまして検討を進めているところであります。5年後に本県で開催される国体に向け、早期にスポーツ医・科学支援体制を整備できるよう、スピード感を持って取り組んでまいります。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) ここで再質問します。ワーキンググループを持ってあり方を検討していくというお話がありましたけれども、実際にこの取り組みというのは、国体等を見据えると、またオリンピックのキャンプ地もありますので、本県の有効なPRの手段であったり、選手の不安解消にもつながることは間違いないと思います。運営方針や整備箇所も含めて早急に結論を出すべきだと思いますので、いま一度、教育長の考えをお伺いさせてください。 ○小林幹夫 議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。議員ご指摘のとおり、スポーツ医・科学サポートの体制が整備されていることで、選手が安心して競技に取り組むことができ、今後のスポーツイベントを迎えるに当たって優位に働くものと思っております。したがいまして、私どもといたしましても、できるだけ早く検討を進めてまいりたいと考えております。 ○小林幹夫 議長 金子裕議員。    (31番 金子 裕議員登壇) ◆31番(金子裕議員) 教育長から答弁がありましたが、結論からすると、優位に働くために頑張りますというところかと思います。  実は平成28年度第77回国民体育大会栃木県競技力向上対策スポーツ医・科学サポート事業報告書を見ますと、栃木県におけるスポーツ医・科学の取り組みがいつから始まって、そしてその中で、今後は国体を見据えた取り組みを行っていきますとあり、そして問題や課題もここに書いてあるんですね。これは県体育協会がつくったわけでありますが、そういうことを見ると、問題や課題というのはどこに何があるか、そしてそれを克服するための、今ワーキンググループというお話もありましたが、これはやっぱり政策会議の中で決めていく内容になっていくと思っております。政策会議の中で決定していくことによって、このスポーツ医・科学サポートの整備というのは現実的なものとしてあらわれてくると思います。このような取り組みを期待すると同時に、やはりハンガリーのオリンピック選手に栃木県でトレーニングを積んでいただくために、スポーツ医・科学のあり方というものも十分考慮した、先ほど言いましたが、おもてなしのプレゼンテーションができる環境づくりの中に加えていただくことをお願いし、私の質問の全てを終了させていただきます。ありがとうございました。 ○小林幹夫 議長 以上で上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問は終了いたしました。  この際、申し上げます。お手元に配付いたしました議案付託表に記載の議案については、それぞれ所管常任委員会に付託いたします。ご了承願います。                             〔配付資料は巻末に掲載〕       ――――――――――――――――――――――――――――― ○小林幹夫 議長 日程第2 第14号議案から第16号議案まで及び認定第1号から認定第6号までを一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。第14号議案から第16号議案まで及び認定第1号から認定第6号までについては、審査のため15人の委員で構成する決算特別委員会を設置し、これに付託したいと思いますが、ご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○小林幹夫 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。  次に、お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員については、栃木県議会委員会条例第5条第1項の規定により、お手元に配付の決算特別委員選任名簿のとおり指名したいと思いますが、ご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○小林幹夫 議長 ご異議がないと認めます。  したがって、選任名簿のとおり選任することに決定いたしました。                             〔配付資料は巻末に掲載〕       ――――――――――――――――――――――――――――― ○小林幹夫 議長 日程第3 請願・陳情についてを議題といたします。今回の通常会議で所管常任委員会に付託いたします請願・陳情は、お手元に配付いたしました文書表のとおりであります。ご了承願います。                             〔配付資料は巻末に掲載〕 ○小林幹夫 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。10月10日は定刻から本会議を開きます。  本日はこれで散会いたします。     午後3時30分 散会...